2009年も自殺者3万人超

報道
01 /29 2010
メディアによると殺人とか交通事故者数は減り続ける一方で、自殺者数は昨年も3万人を超えたという
何時の時代にも「いらない人間」「人生の敗北者」は淘汰されるのが生物としての宿命。
それがポジティブな現象として「殺される」か、ネガティブな現象として「自ら命を絶つ」かの違いだけで、特段異常なことではないのだろう。
先日、NHKBSで太平洋戦争中の元兵士の証言から顧みるドキュメンタリーシリーズを見た。
その中で南方の孤島に取り残され、飢餓の中、食い物を巡って殺し合い、同僚の死体まで食らって生き延びたエピソードを紹介する回があった。
70年前、餓死寸前の極限状態の中で、それでも生きながらえようとした「生への執着」。
その一方で2010年の今、飽食の時代にも拘わらず自ら命を絶ってゆく「死への逃避」。
そんな者が年間3万人も居る事実。
結局、人間、いや生物というものはその環境に順応するために、仲間を殺したり、自ら命を絶ってその種を存続させようとする宿命に縛られている。
先進国の少子高齢化、人口減、自殺増は地球がもはや支えきれなくなった「余剰物」をこれ以上増やさず、排除するための「必然の儀式」なのかもしれない。
このホモサピエンスが種として存続するには、出生率を出来るだけ少なくするに留まらず、今生きている者すら「役に立たないもの」としてどんどん「間引き」し「自ら死を選んでもらう」必要があるのだ。
そんなことは今に始まったことではなく、「姥捨て山」とか「コケシ」なんていう普遍的な「人減らし」は昔からあった。
産業革命以来、爆発的に増えていった人間の個体数。しかしもはやこれ以上増やすことは不可能なのだ。
だから自殺してもらわないと困るのである。
成長なき時代に生命のリストラは必須なのだ。
人類が存続しうる必要最小限の数は、恐らく今の10分の1かもしれないし、100分の1かもしれぬ。適正な数など誰にもわからない。
だが「多すぎる」事だけはたしかだ。
だから生物コロニーとしての成長が止まった時、大多数は「いらない人間」となる。いや「いらない人間」にしなければならない。
これから自殺は、ありふれたスタンダードな死になろう。かつての結核や脳卒中や癌のように。
だから「あの人、自殺したよ」といわれても、「ああ、そうなのね。まあ平均的な生涯だったね」で済んでしまうほどありきたりなものとなる。
かつて専業主婦が当たり前の時代に「共働き」が不幸な家庭とみなされたと同じように自殺は非業の死だったが、今や共働きなんて当たり前と感じると同じく、自殺もごく当たり前な死になろう。

これ以上、成長を望めない社会にやがて貨幣制度も崩壊していくだろう。
デフレは破滅への第一歩だ。
物量が減って、モノの価格が逆に上がり始めた時、世界の終焉が来る。
大多数の人間に食料が行き渡らなくなり、飢餓が始まる。
飽食から飢餓へ。
歴史は繰り返される。
再び、人々はかつて南方の島に取り残された兵士の如く、生きるために殺し合い、仲間の死体を食い始めるだろう。
そして今の文明は崩壊する。
しかし、その「破滅」という通過儀礼なくしては、人類は次の成長に進むことは出来ない。累々たる何億人もの死を受け入れなければ未来はないのだ。
僅かに生き残った「人生の勝利者」「選ばれし者」だけが次のステップへ旅立てるのだ。

「破滅」へまっさかさまの入り口。それが2010年の今なのだ。
だから、精々今の「飽食」を楽しむがよかろう。
デフレは神からの「最期のお恵み」だ。今更成長が見込めないのに物価が上がったらそれこそ「THE END」である。
今日において、雇用が増えて、賃金が上がるなんて状況は永遠に来ない。
産業革命以来の成長システムがもはや限界に達している以上、もはやこの先には「衰退」という2文字しかない。
仕事もなく給与も下がる一方の状況下で物流は滞り、「物不足」が蔓延してくる。
こうしてデフレは終わり、恐慌的物価高がくる。こうなったら最期、もはや最低限の衣食住を維持できる者は殆どいなくなり、9割方が「生活保護」「ホームレス」と化す。
多くのものは絶望し、餓死するか自ら命を絶つだろう。
年間自殺者は10万人を超す事態となる。
「ベビーブーマー」世代ならぬ「自殺フィーバー」世代が一世を風靡する。
生き残るのは僅かで、大抵の者は死ぬ。自殺がオーソドックスで、稀に殺されるか、喰われるか。
病院で安らかに見取られながら大往生なんて「宝くじ」並みの確率となろう。
「なに?あいつはちゃんと病院で死ねた?それに葬式まで出来たのか?羨ましい!お墓にちゃんと埋葬されたなんてどんだけ恵まれた奴なんだ。凄いぜ」というのが普通の会話となる。
大抵は「燃えるゴミの日」に出されるか、無縁仏。死亡の報を受けることもない。
誰が何処で死んだか、知らせる人も居ないし、知りたいと思う者もいなくなる。
もはや人の死は「ゴミ出し収集日」の雑務と同じだ。
清掃車がチャイムを鳴らしながらやってくるよ。
「今日は死体回収日です。カラスネットは忘れずに。」

そしてこの国は終わる。
合掌。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/