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NHKFM「サウンドストリート」のアーカイブス

ラジオ
03 /13 2009
NHKFM「サウンドストリート」のアーカイブスを聴く。
先日聴いたのは1983年11月に放送された坂本竜一担当の番組。
リスナーからのデモテープを紹介してそれに薀蓄を垂れるという構成だ。
当時は今のようなネットも携帯もない黒電話時代。音楽はラジオかレコードからカセットテープへダビングするのが主流だった。
FM放送からエアチェックするために2週間分の番組表が掲載されているFM誌は必須アイテムだった。何せNHK以外、民放FMがまだ全国で8局位しかなかった時代だ。
この「坂本竜一サウンドストリート」はリアルタイムで聴いていた記憶がある。当時の雰囲気が蘇ってきて不思議な感じ。内容も自由度があったし、個人情報や著作権に関しても大らかだ。
当時はYMOのメンバー高橋ゆきひろ氏が同時期にオールナイトニッポンでも番組を担当していてお互いコラボレーションみたいな企画もやっていたな。
1983年11月といえば、まだバイトしながら徳間書店「プチ・アップルパイ」で漫画を描いていた頃だ。
大学卒業してまだ2年か。
サークル後輩の女の子に黒電話で「わくわく動物ランドをみているの!じゃましないで」となじられた記憶がまだ新しい。
そう、その時も、今と同じように日々のBGMはラジオだった。
つまり、この26年間、基本的な生活スタイルは殆ど変わっていない事に驚く。
ラジオを聴いている部屋や位置関係も殆ど変わらない。
カセットラックの中には、1982年当時NHKFMで放送されたオフコース特集をエアチェックしたカセットテープTDK・AD60(ノーマルテープ)が収まっている。ちゃんと再生も出来る。
そして今でも録音媒体はカセットテープである。メーカーも同じTDK・AE90だ。
このアーカイブス放送も四半世紀前の本放送と時間軸が途切れることなくダイレクトで繋がっている。
なんとも奇妙な感覚。
昔の放送を改めて聴いているというよりも、超遅延エコーで同じ空間で跳ね返ってきた電波を再び捉えているイメージだ。
奇しくも大阪道頓堀で1985年当時、行方不明になったカーネルサンダースの人形が見つかったというが1980年代前半はバブル以前のまだ日本が「地に足が付いて」生きていけた時代。
そして20代前半の「青春」期を過ごしていた時代でもある。
懐かしいというより、あの当時から明確な通過儀礼もなく数珠のように連続した日常が連なっている現実に戸惑う。
もし「サウンドストリート」が今でも担当DJ変更もなく続いていたとしたらどうだろう。
デモテープを投稿した20代リスナーはいまや50近い。
そんなリスナーがもし今でもカセットテープに己の作ったアナログ録音のオリジナル曲を番組に送り続けていたとしたら?
四半世紀の間ずっと媒体も変えずアナログのままでひたすらデモテープを投稿しつづける引きこもり50代男リスナー。
おそらく、自分の人生はきっとそれに近いものかもしれない。
嗚呼、滑稽なり我が人生。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/