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映画『バービー』を観る

映像鑑賞
09 /08 2023
先日、映画『バービー』を観る。

基本的にこの手のジャンルは興味がないのだが、米国で同時期に公開された『オッペンハイマー』とのファンアートが何やら炎上していたのでそれを基に更なるオマージュ画を描いていたら、取り敢えず元の映画は観ておこうかという気になった。
その問題のファンアートは原爆開発の科学者オッペンハイマーがバービー役の女優を肩に乗せ、背後で原爆が炸裂しているという構図。
バービーファンアート
それに公式が「素敵な夏になりそうです」というコメントを入れたものだから、日本方面から顰蹙の波が立って炎上したというもの。
だが、現地米国では日本への原爆投下なんぞ眼中になく、『オッペンハイマー』で語られる原爆開発と『バービー』で描かれた露骨なフェミニズムが「世界を変える」みたいな意味での皮肉を込めたファンアートだそうだ。
米国にとっては別に原爆投下を反省する義務などなく、核武装こそが安全保障の最大の武器という普遍的常識からすれば、日本人があれこれ口出しする権利など存在しない。
勝てば官軍、負ければ賊軍。
負けた者が何を言っても「負け犬の遠吠え」だ。
映画会社が謝罪する筋もない。

それはさておき、映画『バービー』【以下ネタバレ注意】。
昨今のポリコレ、フェミファシズム旋風の世からすれば予想通りの内容。
スターリン政権下の共産党賞賛プロパガンダ映画か、毛沢東主義の文化大革命宣伝映画か、自己改革セミナーの洗脳ビデオと大して変わらず、例えればフェミファシストの男性撲滅運動キャンペーン動画といえようか。
真に受けたら気が狂うので最初からそれを理解し、警戒しながら鑑賞すれば取り敢えず最後まで我慢出来る内容。
尽く「恋愛」というものを否定し、性差を否定し、男女が反目し、拒絶し合う社会が「理想郷」と説いているので失笑しか漏れない。
ただ最後に、主人公のバービーが創造主に諭されて死ぬことのない「永遠の命」がある人形を「卒業」し、限りある生命の「人間」として生きる事を決断した結末は、結局のところフェミファシズムの行き着くところも「絶望」であるという事を暗に語っている印象だ。

所詮人間は如何に偉そうなことを言っても哺乳類という有性生殖で繁栄してきた。
雄雌の交わりなしには種の存続はあり得ない。
その闘争に下に生存競争を勝ち抜いてきたのだ。
それを今更、一世代にも満たないフェミファシズム思想で「女性だけの理想郷」が構築出来るなどという事自体、滑稽である。
そもそもこの思想自体が真の人権にあるのではなく、巧妙に仕組まれた「弱者ジェンダービジネス」であることはもはや論を待たない。
そんなものに「救い」なんてなく、一部の活動家の懐を肥やす商売でしかないのだ。
結局、「人生の勝者」は結婚し、子供を産み、育てた男女の上に輝く。
それを否定したいのなら、人形のようなレプリカントに魂を移植させるか、肉体を捨て、性差のないプラズマのような存在として空間を漂うしかない。
しかし、そんなものは一朝一夕で出来るものではなく、1000年~1万年オーダーの時を経た技術革新を待たねばならぬ。
そしてそれが真の意味での「幸せ」かどうかも怪しい。

結局のところ、バービーは玩具人形でしかなく、魂の器にもなりえないから、その限界を超えるには自らの寿命が限られた「人間」として生きなければならない。
そして次世代に希望を繋ぐにはとにもかくにも子供を産むしかない。
そのためには男女が結ばれなければならない。
しかし、この映画では男女の反目こそ「理想郷」と謳っている。
その矛盾を解消するため主人公のバービーは「人間」になり、「男」なしで子供を作る行動を模索する。
最後のシーンで主人公は「産婦人科」に立ち寄るのだが、納得できないフェミファシストは、出産の為ではなく、単に定期検診のために産婦人科に寄っただけだと喚き散らす。
笑止!
作品のラストが単に「コンビニに寄りました」みたいなエンディングになる訳がなかろう?
バービー創造主に諭され、「命懸け」の一大決心で「人間」世界に降りて来た主人公だ。
それで単に「定期検診しました。おわり」なんて馬鹿も休み休みに言え。
流石に監督に失礼だろう。
ここはやはり、「子供を産む」というステージが語られてこそのエンディングなのだ。

もしかするとそこで人間バービーは「優秀な遺伝子を持つ」男子の精液を購入し、人工授精で自らの遺伝子を未来に継ごうと画策したのではないか。
受精に必須な「恋愛」過程をスルーして「遺伝子」だけを手に入れる。
そうすれば人間社会における「男性優位性」を回避しつつ、未来へ希望を獲得する。
それがある意味、現代における女としての「暫定的理想郷」としたいのか?

だが、そんな社会も上手く行くとは到底思えない。
結局、人工授精システムも財産や地位がある者だけの特権でしかなく、貧富の差を助長し、得られない者は益々出産機会を奪われ、ほんの一部の特権階級女子だけが僅かな優秀男子の精液を巡って奪い合うだけの話。
それに育児はどうするのか?
下男にでもやらせるのか?
所詮ハーレムの時代に逆戻りである。
大半の男女は何の利益も得られず、ただ反目し合い、老いていくだけの悲しい人生しか待っていない。
結局、この映画はフェミファシズムの限界を描いているに過ぎない。
コラボンハイマー02308版下aaa
この先、文明が核戦争で崩壊し、新たなる「魂の器」たる人造人間「バービー」が出現しない限り、現世では男女が結ばれ子を育むことが唯一の「幸せ」となる。
それ以外は全て不毛にすぎないのだ。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/