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異世界に飛ばされた夏

日常
08 /14 2020
2020年夏真っ盛り。
普段の8月ならどこか遠くから盆踊りの音が風に乗って聞こえてくる季節。
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蒸し暑い空気。
積乱雲。
蝉時雨。
浴衣姿の少女。
夏の夕べの黄昏。
遠雷のような花火の音。
週末ごとにやって来るイベントの熱気とファミレスでの打ち上げ乾杯。
これを読んでいる諸君は信じられないかもしれないが、私はどこで間違ったか、その全てが失われた世界の時間軸に転落してしまった。
ここでは猛暑日にも拘らず、人々が全員マスクして脅えながら徘徊する狂気の光景が広がる。
マスコミは毎日、不治の病が流行っていると喚きたて、あらゆる夏祭りがなくなってしまった。
阿佐ヶ谷七夕祭りも、高円寺阿波踊りもない。
何百年と続いた伝統祭りも例外ではない。
お盆の帰郷も禁止され、都会人が地元に帰ると半殺しにされる状況を作っている。
祖先を偲ぶ墓参りすら出来ない。
富士山すら登山全面中止。甲子園高校野球もやってない。
なぜこんな狂った世界にどこで転げ落ちてしまったのか?
皆目見当が付かない。
まるで文化大革命下の中国か、ポルポト政権下のカンボジアか、禁酒法下のアメリカか、丙午の日本に飛ばされたようだ。
はやく、元のまともな夏に戻るゲートを探し出さないとこのままではこの狂った世界に永遠に閉じ込められてしまう。
私は思う。
SFでしかなかったはずの「別の時間軸の世界」に飛ばされる現象は実際にあったんだと。
絵空事ではなかったのだと。
でもどこかに「正しい本来の世界」に戻れるゲートが有るはずだ。
この猛暑マスク人間が徘徊する狂った世界にこれ以上留まるのはうんざりだ。そのうちこの狂った世界は遅かれ早かれ滅びる。
祭りのない夏の世界なんかいられるか。
早く、正しき世界に戻るゲートを見つけて、阿佐ヶ谷七夕祭りや高円寺阿波踊り、そしてコミケットに参加しなければ間に合わなくなる。
読者諸君は思うだろう。
「そんな真夏にほぼ全員がマスクして疫病に脅えて、すべての祭りがなくなって、お盆の帰郷も出来ないなんて夏があるものか。
空想するならもっとリアリティーのある空想世界を描いてみては?」
と・・。
たのむ!
信じてくれ。
本当にこんなばかげた狂った世界に私は、今いるのだ!
お願いだ!
信じてくれ!
もしかすると、原子爆弾が落ちて時空間の歪みの隙間に落ちて、同時並行世界に飛ばされたのかも知れぬ。
この狂った同時並行世界からの脱出の術がどこかにあるはずだ。
そのゲートを早く見つけなければ。



あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/