絶望的戦局映像

祭り
11 /15 2009
最近、太平洋戦争末期の絶望的戦局を記した記録や画像を延々と見る事に唯一の楽しみを見出すようになった。
沖縄戦の「菊水作戦」等は心地良いほどの絶望を味わえて、「陸海軍総特攻機化」の非尋常ぶりは感動に値する。
YOU TUBEなどには沖縄沿岸洋上に集結する米軍艦艇に向けて突っ込んでくる特攻機の映像がいくつかアップされているが、それを何回もリピートして己の人生とオーバーラップさせる。
もっとも、今の日本人にこの状況を現実化させる手立ても何もない訳だから、ただ単に妄想の域に過ぎないのだが、それでもこの映像を見ていると何ともいえない恍惚感に浸れる。
テレビのドキュメント番組などで部分的に使われている映像が多いが、何のキャプションもBGMもなく、単に記録映像として淡々と流されているほうが「真実味」がある。

最近の「お気に入り」は、1945年3月、九州沖航空戦に参加した神雷部隊全滅の映像である。

迎撃した米艦載機のガンカメラが捕らえた1式陸攻の編隊が次々に撃墜されていく状況を記録したもの。特攻兵器の「桜花」を搭載して米艦隊攻撃進攻最中、レーダーに捉われ、まるで「標的訓練」のごとく撃ち落とされていく1式陸攻。
最初から勝算のない無謀な作戦と解っていながら実践せざるを得ない状況が香ばしい。
この飛行隊長もキチガイじみた作戦命令に相当怒っていたらしい記録が残っているようだが、この画像からもよく窺い知れる。
敵機が襲ってきているのに、護衛戦闘機の姿もない空域で、ろくな回避行動も出来ず、ただ標的の如く漫然と飛行するしかない(搭載している桜花が重過ぎるのでまともに動けないらしい)1式陸攻の編隊状況は、一種の自殺ショーにも見えて、攻撃している米艦載機のパイロットもむしろ「いやな気分」になっていたのではなかろうか?
それにしても、カラー映像だから洋上に浮かぶ積雲と空の青さが美しく、更にこのキチガイレベルの「自殺ショー」が「死の美学」を強調して「芸術作品」の域にまで達している。
冷静に見ればこんな破綻している作戦を実行する感覚が「理解不可能」なのだが、当時はこれが「スタンダード」だったのだ。
火達磨になって堕ちていく1式陸攻の乗務員や「桜花」のパイロットは如何なる気持ちで居たのか?
敵の目標に突っ込む遥か以前に、無念の死を覚悟しなければいけない訳だが、だがまあどう足掻こうが死は免れない訳で、案外あっさりと己の運命を受け入れていたのかも知れない。
どうしようもない「無駄死」もここまで来ると快きものがある。
これら、特攻作戦を立案した旧海軍将軍は、終戦の勅語を聞いた後、停戦後にも拘らず単機「特攻」に赴いて沖縄の沿岸に突っ込んだそうだ。
もう、にっちもさっちも行かなくなったら「特攻」である。勝利を治める為の戦略とか戦術とか、そんなものはどっかに消し飛んで、目的が「自決」になってしまったのだ。
これはもう「戦争」ではなく「自殺祭り」である。
昨今の、民主党が実施している「査定ごっこ」もこれに似た「狂気」度が窺い知れて、いよいよ日本も本当の破滅に向けてまっさかさまという感じだ。
民主党もこの前例を見習って「特攻精神」を発揮してもらいたいものだが、そんな「自殺祭り」を司る優秀な司祭がいるようでもないから所詮期待はしていない。
もっとも年間自殺者3万人を超えているのだから放っておいても「自殺祭り」は開催中な訳だが。
だから、この「悲惨な画像」も過去の話ではなく、今もなお、この火達磨になって堕ちていく1式陸攻は「現在進行形」の日本の光景であることを知ったほうがよい。

明日はわが身である。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/