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神無月妄言

日常
11 /02 2019
神無月妄言。
気がつけば11月。今年もあと2ヶ月を切ってしまった。
己の干支だったにも拘らず、手ごたえのある収穫は無きに等しく、ただ人生の蝋燭をすり減らしていく年月。
今に始まったことではないが、時間の概念がもはや客観的にコントロール不能になったのか、「やるべきこと」がまったく片付かない。
SNSという手慰みが貴重な時間を奪っていく。
ネットにアクセスする度に何ら生産性のないものにエネルギーを吸収され、気がつくと1日が終了してしまう。
このパターンから脱するためには、取り合えずスマホのような末端を遠ざけなければならない。
スマホの利便性によって「やらなければいけないこと」が犠牲になっていることを悟るべきだ。
スマホによって予定された「1日」が予期しない情報によって阻害され続けると、一生を台無しにする。
一人の人間が処理できる情報などたかが知れている。
SNSから溢れ出る有象無象はそもそも虚無。
そんな虚無にアクセスし続けることは、己を虚無の一部としてしまうのだ。
その虚無に反応しないことが、徳を積み、人生を豊かに出来る。
スマホは毒である。

吾妻ひでお先生が鬼籍に入られた。
数多の傾倒する偉人クリエーターが世を去っても、それは自分にとっては直接関わりがない「雲の上の人」。
しかし、吾妻ひでお先生は少なくとも、自分の作品に対して直接関心を持って頂き、同人誌模写や原画展にまでお越しいただいた。
短いやり取りながら直接お話したこともあった。
そのような方が鬼籍に入ったことによる喪失感は計り知れない。
享年69歳。
1970年代より週刊漫画誌でバリバリに連載されていた第一戦級の漫画家からしたら長寿のほうかもしれないから、ある意味漫画家人生を全うされた方なのかもしれない。
合掌。

今年は殊更、様々な事象で己が傾倒する分野での生命財産が奪われる喪失感が強い。
水害、火災、放火で貴重な唯一無二の存在が、一瞬にして灰燼に帰していく。
「形あるもの、いつかは必ず朽ちる」
その定めから逃れることは出来ない。
だが、これまでは喪失する以上に、創出されるものが卓越してたから、この国はなんとか持ち堪えてきた。
しかし、この超少子高齢化の時代、希望ある未来は奪われ、一度失うと、もう2度と取り戻す事が出来なくなる時代へと転落した。
浩宮陛下即位の儀を垣間見て、玉座に上られるお姿はもはや初老。
初々しい活力ある覇気は感じられず、「令和」の時代は計り知れない喪失の連続を予感させる。
人間国宝並みのアニメーターを一瞬にして奪ったスタジオの放火も、貴重な収蔵品を水没させたミュージアムを襲った洪水も、再建された途端に炎上した城の大火災もすべて「終わりの始まり」に思えてくる。
運からも見放されたように。
いや、この世が「灰燼に帰す」ことは世の宿命であって、むしろ何事もなく安息が続くわけがないのだ。
この定めを織り込んでこその人生でもある。
だから、貴重な今の「生」を悔いることなく、前に進むしかないのだ。

我らは灰燼の中から新たなる未来が築かれる輪廻の中に生きている。
やがてこの東京も首里の炎の何千倍の規模で焼かれる日が来る。
「令和」に生きる民はその苗床となる生贄の宿命なのかもしれぬ。

しかし、誰もその覚悟は出来ていないのだ。


あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/