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夜間総火演予行観覧記

旅、訪問記
08 /24 2019
令和元年度富士総合火力夜間演習の22日学校予行のチケットを御厚意により賜った。
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昼の演習は何回か観覧したことはあったが、夜間は初めて。2年位前に別の方からチケットを頂いた事があったのだが、この時は中止になって果たせなかった。
新宿から小田急線、御殿場線を乗り継いで御殿場駅には15時31分着。
天気は曇り。
昼間演習の場合は早朝からシャトルバスに乗り込む人で長蛇の列だが、予行夜間演習のみを電車で行く人は殆ど見かけず、駅前も閑散。
この時間帯はタクシーを除くと日に数本しかない「印野本村」行き路線バスしかアクセス出来ない。
16時18分、「印野本村」着。暫く行くと歩道もなくなってゴルフ場を挟んだ車道のみの舗装道路をひたすら進む。自衛隊車両が時々すれ違うだけで他の歩行者は見当たらず。
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薄暗い森の道を一人だけで歩む心細さ。やっと演習場への案内係を見つけ、安堵する。
30分ほどで会場に到着。
チケットを見せて、スタンド席へ。
17時半頃から、練習の砲撃が散発的に始まる。
90式戦車、89式装甲車、16式機動戦闘車等が覗える。
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戦車砲の発射音は強烈で、年々体に堪えるようになった。
10年位前に赴いたときは全然平気だったのに、やはり歳には勝てない。

19時20分よりいよいよ夜間演習開始。
天気は時々雨がぱらつくコンディション。
視程も悪い。
場内は真っ暗。演習が終わるまで動ける状況ではない。
昼の演習と違い、テンポはゆっくり。撮れる写真も闇と光だけなので限定的。
照明弾が雲の中から落ちてくるのは幻想的でもある。
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砲撃の火炎と曳航弾の軌跡、地上の反射光・・。
実際の戦場ではこの中で死闘が繰り返される訳でなんとも言えない気分になる。
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それはもう、己が若くない証拠だ。昔なら「血沸き、肉踊った」のに、恐怖すら感じるとは情けない。
「戦争」なんてものは、心身ともに若くなければ到底及ばぬもの。
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もう孫が居てもおかしくない域に達すると、こんな暗闇で己の命を賭して彷徨し、鉄の嵐の只中に吶喊することを想像しただけでも耐えられぬ。
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実際の戦闘になれば、こんな統制された行動も出来なくなろう。
1943年の独ソ戦、チタデレ作戦時のドイツ戦車兵は、クルスク大平原で如何なる覚悟で死んでいったのだろう。
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20時20分。赤い曳航弾の一斉射撃で状況終了。
場内に灯りが点いて観客は一斉に駐車場に向かう。
と同時に雷と共に激しい雨が降ってきた。
雨合羽だけでは足りず、傘をさして凌ぐ。
往路を折り返して戻ろうと考えていたが、この状況ではもうどこだか解らなくなってしまい、インパール作戦撤退の如く、水溜りの中、人の列について行くだけ。
幸い「タクシー乗り場」の案内板を見つける。一応この時間でもタクシーは受け付けているようだ。
タクシー乗り場には40~50人程度の列。
しかし、なかなかタクシーは来ない。
雷を伴う豪雨は全然降り止む様子はなく、雨を凌げる場所もないのでかなり過酷な状況に。
百里基地航空祭の苦行を思い起こす。
自衛隊基地は元々アクセスが悪い場所なのである程度は覚悟しなければならぬが、この天候も相まって不安が募る。
果たして終電までに駅に辿り付けるか心配になりだした。
見かねて自衛隊員がトラックを2台乗り付けて、タクシー待ちの人を幌や助手席に誘導し、雨宿りの場所に提供。ありがたい。
自分も暫く乗せていただく。これもめったにない体験としてポジティブに受け入れる。
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隊員側も来場者を全員無事にタクシーに乗せなければ帰れないので大変だ。
なんとか21時55分頃、やっとタクシーに乗ることが出来た。3人相乗り。御殿場駅まで3600円ほど。1200円で折半し交通費を何とか節約出来た。
御殿場駅に着いたのは22時10分頃。国府津行き最終列車は22時25分。何とか間に合った。
雨はすっかり上がっていた。
結局自宅最寄り駅に着いたのは翌23日午前1時近く。
復路は5時間近く掛かった。
大変ではあったがこの苦行含めて自衛隊イベントであることを改めて悟る。
こちらも人生の夜間演習のごときであった。
この場を借りて、改めてチケットをお譲り頂いた方に御礼申し上げる。


あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/