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「描く!」マンガ展に赴く

映像鑑賞
09 /25 2016
先日、川崎市民ミュージアムで開催されている「描く!」マンガ展に赴いた。
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武蔵小杉駅からバスで10分ほどか。
規模は思ったよりも大きかった。てっきり「ゴルゴ13」を「よつばと」の作者がパロディーにしたイラストが数点展示されているだけだと思っていた。
考えてみればそんな企画だけで展示会する訳がない。
時代を象徴する漫画家の原画が歴代順に展示されていた。田中圭一氏による描写研究の解説文も興味深い。
場内は一部を除いて撮影も可能。
失敗したのは眼鏡。
外出用の遠景専用の眼鏡しか持ってこなかったので、観賞にちょうどよい距離での焦点が合わない。老眼が進んで近くのものが霞むのだ。
だからといって眼鏡を取ると、もともと近視なので今度は逆に5センチ位に近づかないとすべてぼやける。
極端から極端。
そもそも漫画原稿は原則B4サイズで一般の絵画と比べるとかなり小さい。
また印刷を前提としているので、修正とか、アタリとかあって、実は汚い。
昔は印刷が終わったら破棄されたり、読者プレゼントで切り刻まれたりと、基本「使い捨て」であった。
雑誌印刷も荒いので、漫画原稿は必要最小限のシンプルなタッチが原則。
だから、歴代著名作家の漫画原稿は意外と淡白でさらっと処理した線で構成されている。
印刷で飛んだり、潰れそうな細かい描写は殆どない。そんな丁寧に描いても時間を食う上に誌面には再現されないから誰もやらない。
一見、細かそうに見える諸星大二郎の原画も、実はかなりラフ。
量産が絶対条件のプロ漫画家にとって無駄な労力は皆極力省いているのだ。だから第一線で描き続けることが出来る。
自分のような印刷度返しで、原画観賞前提の描き方をしている漫画家は、こういうところには出て来れない。
大いなる矛盾。
それにしても、最近の複製原画はよく出来ている。
本物の原画との見分け方は、写植の紙の有無である。古い原稿は糊が退化して写植が剥がれて黄色くなっている。
今後、原稿制作がデジタル化されると、もう紙原稿を原画で観賞するという趣もなくなってしまうのだろうか。
ジャパンコンテンツが市民権を得て、公共の美術館でも比較的集客が見込める漫画原稿展示の機会が増えてきそうな予感もする。
余談だが、1970~80年代の学漫を紹介するコーナーに’79年発行の『ぱふ』全国まんが同人誌地図号の68P~69Pが見開きで展示されていた。
この4P後位に学漫時代の自分の作品が紹介されていたのを思い出した。
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37年前か。
この本は今でも部屋にある。
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歳を重ねたせいか、やたら最近は過去のことを振り返るようになった。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/