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初音ミクエンゼルパイと徳川夢声戦争日記

日常
03 /10 2016
寒暖の差が激しい3月上旬。
いつの間にか梅も散って、まもなく桜のシーズン。今年の東京の開花は21日ごろだとか。
スーパーに初音ミクのエンゼルパイが売っていたので買って食べてみる。
ミント味は微妙だが、このエンゼルパイも息の長い商品だ。


東日本大震災からもうすぐ5年。
東京大空襲から71年。
引き続き徳川夢声の『夢声戦争日記』を再読中。1945年1月まで。
徳川夢声は当時の有名タレントだったので空襲下でも各地に慰問に回る様子が記されている。
戦局悪化の中での1944年末の東南海地震と、トイレにも行けぬほどの列車の混雑の中で右往左往する様は小松左京『日本沈没』の状況と似ている。
だがこれは現実にあった史実。
1945年になっても、飛行機で各地の陸軍航空隊を慰問で回りつづける。戦時になればタレントも命がけだ。
今度、もし戦争が始まったらTVで人気の吉本芸人とか、そのあたりも同じような興業が待っているのだろう。
これから死に逝く軍人に、冥土のお見上げとして「お笑い」を披露する旅に。
「お笑い」で戦士の心を慰められると信じたいのは、いつの世も変わらぬ。

夢声は空襲下の東京に戻っても特別なことはなく、日々淡々の日常。
いずれすべてが灰燼に帰すことが解っていても、一番大切なのは日常なのだと。
更にはこうも記す。
「いずれ原子爆弾が完成して、地球がふっとんでも、まあ人類ここまできたのだから大したものだ」。
カーチス・ルメイの行為も褒めるに値するということか。

東日本大震災で福島第一原発が未曾有の事故に至った一因は、全電力が喪失しても冷却システムを保つ仕組みを操作員が把握していなかった事にあると伝えられている。
問題は原子炉にあるのではなく、人にある。
原子炉という文明の利器はそれ相応の人間に与えられるものである。
使いこなせない者が扱えば遅かれ早かれ結果はこうなる。
同時にそれを使いこなせないからといって放り出せば事足りる、という思考もまた愚なり。
賢者は文明の利器を使いこなす「人」を創出することに知恵を絞る。
それをしなくなった国に未来はない。

どこかの誰かが保育園に落ちたからどうのこうのと記したブログがニュースから流れる。
「トイレの落書き」に反応するメディアに怪しさの予感。
あれは最初から「仕掛け」があったのだろう。
毎秒幾億と垂れ流されるネット汚水にうじゃうじゃと蠢く蛆虫のような文言に意味などあるわけがない。
敢えて意味を持たそうとするのは、そこに作為が存在するからである。
権力者が己の都合で肥溜めの中から蛆虫を拾ってきて、さも意味のあるがごとく工作するのである。
それに踊らされる民が愚かなだけ。

電力自由化で詐欺が横行という。
いや、その前に煩雑な料金システムがそもそも合法的搾取。
携帯料金がどのように課金されているか完全把握しているユーザーがどれだけいるか。
事業者はユーザーに複雑怪奇な使用料金プランの選択肢を迫る。
だが常に「損」をしない料金プランを維持するためには、株のトレーダーのごとく24時間365日その情報を追尾し続けなければならぬ。
そんな暇人どこにいる。
「2年縛り」がいつなのか、誰も教えてくれない。
かくして携帯や電力事業者は濡れ手に泡で利潤を上げる。

どこかのシンガーソングライターが女性タレントとの痴話事に巻き込まれ、叩かれるが、人気は一向に落ちないとか。
亜米利加大統領候補のごとく、メディアが取り上げれば取り上げるほど株が上がる。
これも恐らく何かの「仕掛け」の気配。
お互いの利益のための茶番。
結局は誰も損はしない。いずれ渦中の女性タレントもより多くの「得」を確保できる席が用意されているのだろう。
損をするのは真に受けた善良者。

初音ミクは歌う。
「まだ知らない 不思議なことに出会ってみたい
そんな気持ち、誰にだって きっと ある」

徳川夢声は成層圏を偏西風に流されて飛ぶB29を率直に綺麗だと記す。
夢声はこのとき「まだ知らない 不思議なことに出会った」のである。
それが己のすべてを焼き払う使者と解っていても、美しいものは美しかったのだ。

エンゼルパイは美味しい。
ミクちゃんもかわいい。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/