作画集中力を持続する方法

創作活動
05 /24 2015
次回分の商業原稿がやっとアップした。今回はゴールデンウイーク中にバタバタしていた分、最大戦速での作画作業を長時間持続する必要に迫られた。
アシスタントを使えない漫画家にとって、分業は出来ない。すべて自分の「頑張り」のみが頼りだ。
そこでそのノウハウを列挙してみた。
まず、集中力の持続。作画中は平日も週末もない。ひたすら原稿に向かう。
雑念を排するため、外からの情報を極力遮断する。
ネットなどもってのほかだ。あれは「時間破壊装置」。ネットに接続するということは己の時間を捨てることと同意語に近い。
メールチェックもしない。うっかりネットに接続してしまう危険を孕んでいるからだ。
外出もしない。人とも会わない。電話もしない。
会話などの息抜きが集中力を途切らせる原因となるのでコミュニケーションを遮断し、家に篭らねばいけない。
集中期間は誰とも話さない事。声帯が退化して喋るのが億劫になるが致し方ない。
守るべきは集中力。
「リフレッシュのために休養は大切」とか言われるが、あれは嘘。
リフレッシュしたら、永遠に何もしなくなる。
一旦集中力が切れると再起動に相当なエネルギーを要するからぶっとうしで作業するほうがいい。
クーラーも起動時が一番電力を消費するという。それと同じだ。一度電源を入れたら閉じてはいけない。
起きたらすぐに原稿に向かう。食事はその後。起床後が一番集中できる。いわばメモリーがリセットされたサクサク動くパソコンと同じだ。食事をすると演算速度が低下するので限界まで食事は控える。
作業中はBGMをトランス系の楽曲にするといい。
バッハとかのバロック系も悪くない。あと能の地謡(じうたい)とか。それをヘビーローテーションさせて、己の精神もトランス状態にもっていく。
上手く陶酔すれば1日18時間ぶっとうしの作画も可能だ。
今回は映画『Uボート』のサウンドトラックをBGMにしてトランス状態を保った。
Uボートの艦内で敵駆逐艦からの爆雷攻撃に耐えていた乗務員から比べれば、1日18時間の作画など苦にもならない。生命が掛かっている訳でもないのだ。だから頑張れる。
とにかく作業を切らない事が必須条件。
食事も1日1回。排泄も小は1日1回。大は半月に1回まとめて出すのが理想。トイレに立っただけでも集中力を欠く恐れがあるからだ。
睡眠は限界まで我慢する。一度眠ると何時間でも寝てしまう。
但し、カフェイン服用は極力控える。薬に頼ると身体自体を壊してしまうから。
J-WAVEの夕方、「なんとか打破」というドリンクCMがあって勉強、残業、運転時の服用を勧めているが薬品に依存するのは避けたい。自分の精神力でカバーする。睡眠は生理現象なので眠たければ爆睡するに任せるのが秘訣。
一度寝ると12時間寝てしまう。
だからこそ起きているうちは作画以外に時間を割かないように集中力を磨ぎらすのだ。
こんな状況を続けると身体を壊しそうだが、素食であるから修行僧と同じく意外と健全な生活になる。
夏場はクーラーもつけない。
仕事場はトタン屋根の2階で昼間室温が40C近くになるが我慢する。汗がたくさん出るがこれも修行と悟れば原稿作業も捗る。クーラーのなかった15年位前はこれで体重38Kg~43Kgを保ち、病気もしなかった。
最近はエアコンに甘え、集中力を欠くようになったのでよくない。
こうして一気に原稿を仕上げる。
これだけ頑張っても一ヶ月に12Pが限界なのだ。
それが分業不可能な漫画家の宿命なのだからと覚悟を決める。
定時に休養や食事、息抜きできるサラリーマンとは生きてゆくステージが違う。
日本社会は大学新卒採用、終身雇用、専業主婦のみが快適に就労できる環境が整っているが、それ以外の就労者は保護対象外。自分の身を削らねば生きていけない。年功序列もない。労働生産性100パーセント。
売れなければいつまでたっても大学生アルバイト以下の収入で甘んじなければいけない。
だが、漫画家はそういうもの。
とにかく今回も頑張ったのでよしとする。


あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/