桜満開に想う

日常
04 /02 2015
3月末日。新宿御苑に立ち寄る。
桜真っ盛りのこの時期。いつしか御苑に毎年通うようになった。
週後半は天候が下り坂になるとの予想。花見をするなら早いほうがよい。
新宿門には行列が出来て大変な賑わいだ。
年を追って、外国人の姿が際立ちはじめる。
外見ですぐわかる白人系はもとより、明らかに日本語ではないアジア系も少なくない。
日本人は肩身が狭くなりつつある。その上大抵が高齢者。行く末短き者ばかり。
花見だけではない。ありとあらゆる繁華街、観光地、イベント会場、商店街が例外なく外国人の波に洗われている。

御苑の桜は完全に満開だ。
染井吉野の枝下にレジャーシートを敷き、スケッチを始める。
乾燥した日がつづいていたので砂埃が舞い、塗ったばかりの水彩絵の具に混じっていく。
となりのシートに集うグループからは大きな声の中国語が響いてくる。
満開の桜を愛でるのも、やがて日本人ではなくなる日も近いのか。
いや、そもそも日本人とはなんだ?
渡来人と縄文人の混血?
かつて日本に渡ってきた中国王朝の派遣軍大将が帰国しないまま、日本列島に己の国家を立ち上げたのが、日本国の起源だという説もある。
所詮、人も国も遷ろう存在だ。

ラジオのニュースで中国主体のアジアインフラ投資銀行のことが流れる。
いつしか、欧州主要国も参加を表明し、日本だけが取り残されると。
所詮は中国覇権のための存在だから、結局、中国だけが得をするような仕組みになっているのだろう。
これに懸念を唱える者も多いようだが、であれば日本主体のアジアインフラ銀行を作ればよいだけのこと。
だが戦後、亜米利加の妾として生き長らえてきた日本。もはやそんな力はどこにもない。
そのご主人たる亜米利加も日本を捨て、中国に擦り寄ろうとしているのだ。
妾に主体性はない。ただ、泣き叫び、惨めに捨てられるだけの運命だ。それを中国が見て高笑いする。
それがアジアインフラ投資銀行のもう一つの目的なのだろう。

かつて「エコノミックアニマル」と揶揄された日本。
だが、今はその「エコノミック」の部分が削げ落ちて、ただの「アニマル」に堕ちた。
そんな毛をむしりとられたような「動物」に中国という覇権国と対峙する力も尊厳も残っては居まい。
金儲けだけが取り柄だった動物など尊敬されるはずもない。
だから、あっさり欧州各国に出し抜かれたのだ。
彼らにとってアジアでのお零れをいただければ、それが例え中国覇権の道具であったとしても構うまい。
結果として日本が中国に滅ぼされたとしても、所詮「エコノミックアニマル」の「エコノミック」が取れた雑獣だ。
そんな醜い生き物に誰が助けの手を差し伸べようか。

ところでテレビでやっていたが、このアジアインフラ投資銀行にはまだいろいろと裏の目的があるようで、不正蓄財して海外に逃亡した中国共産党の裏切り者を「狐狩り」と称して一網打尽にすることにも活用されるとか。
日本が、もし中国に抗して生き残りたければ、そんな裏切り者を歓迎するという手もあるな、とふと考える。
彼らを囲って保護するのだ。
そうすれば中国覇権のためのアジアインフラ投資銀行に加盟しなくたって済む。
所詮薄汚い商売をして繁栄した日本だ。
生き残るためにはこれからも泥まみれになってもらわねば。
そんな中国の「有能」な裏切り者を日本に招いて、彼らを新たな日本の指導者にすれば更に面白かろう。
彼らは死に物狂いでこの日本を守ることに血眼になろう。中国に引き渡されたら死刑は必至だからね。
もはや妾根性に染まった既得権益にしがみ付く今の世襲政治家よりはよっぽどマシだ。
躊躇なく核武装して、中国からの脅威を取り除くだろう。
そもそも「本土決戦」前提の現憲法下の「自衛戦争」用自衛隊戦力では国土が焦土化するのは目に見えている。
そんなものより戦略核原潜3隻を就航させたほうがよっぽど侵略抑止になる。
あとは何にもいらない。
日本には海があるんだ。核も原発も廃棄物もこの広い海洋を活用すればよい。
せせこましく、至る所に火山が並ぶ地震日本列島で生き残りたければ、海に活路を見出すしかない。

かつて大陸から渡ってきた派遣軍大将のごとく、「新たな血」を注がない限り、この国の未来はないように感じる。
そもそも「日本人」という概念はあやふやで構わぬのだ。
大挙、観光目的で遣って来る中国「富裕層」は、やがて日本文化と同化する。
そして中国共産党の一党独裁に嫌気が差したインテリ層や知識人が、この日本を己の理想体現の聖地として強固な真の独立国家として再建するやもしれず。
その頃にはもう「日本人」という概念は、今とはまったく違うものになっているだろう。

それが好ましい日本の未来像になるかは知らない。
ただ、このままの超少子高齢化で新しい「血」が注がれないままであれば衰退は必至であることは論を待たぬ。
遅かれ早かれ、どこかの覇権国の奴隷と化すのは目に見えている。
平成の世に「尊皇攘夷」を叫んだところで、もはや老人ばかりでは何も為しえない。
あらたな「血」か、さもなくば「死」か。
新生卑弥呼の降臨。
もう日本はそんなところまで追い込まれているのだ。

陽が西に傾きかけた新宿御苑。
桜のシルエットが芝生に陰を落とす。
日本人親子の娘が桜も見ずにひたすらスマホを弄くっている。
その近くで桜を撮影しているのは中国人のほう。

日本人は何処から来たのだ?そして日本人とは何者か?そしてこれから何処へいくのか・・。
どこにも答えはない。
強い風が桜の枝を揺らし、わずかに花弁を散らし始める。

来週には一挙に散っていくだろう。
御苑スケッチ150331





あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/