変わり逝く街

日常
03 /12 2015
次第に水温む季節になってきた。
ツイッターにも記したが先日、所用で秋葉原に赴いた際、駅ビルにスタバを見つけた。
数週間前に立ち寄った渋谷のスタバと客層があまり変わらないことに妙な心のザワツキを覚える。
渋谷と秋葉原は水と油のような関係だったのに今やその違いはないに等しい。
かつては秋葉原でお茶する場所すら難儀したのにスタバまであるなんて近未来SFの世界だ。
店内に入ると大抵の客はマックのノートパソコンやスマホで何やらチェックしている。
みんな見栄えがよい。
もう「秋葉系」風体は何処を探してもいない。
そんな中、自分は「秋葉系」はおろか、その遥か前、「石丸電気レコード券」全盛35年前の秋葉原客のごとく、単品オーディオ、それもアナログカセットデッキの紙カタログをパラパラ読んでいる。
まさに時空の狭間に落ち込んだ気分。「バックトゥーザフューチャー」の世界である。
此処ではもう己は取り残された化石と同じだ。

もう一つ、喫茶店の話題。
これも先日、所用で京王線府中駅に立ち寄った時のこと。
此処で降りたのは10年ぶりかも知れぬ。
1996年頃、この街を舞台にした『府中、時の迷宮』という同人誌を描いた記憶が蘇る。
南口駅ビルの中に30年以上前の学生時代の青い残像が刻まれた「マロコ」という喫茶店があったのを思い出し、久しぶりに立ち寄ってみようと思い立つ。
ところがそのフロアにあったはずの「マロコ」は、なんと別の店になっていた。
ここでも時は流れ、人も街も変わっていく。
だが、己はその時流に乗れず、常に変貌する世界をただ唖然として傍観するのみだ。
通過儀礼なき人生は儚い。
33年前の学生時代の記憶。
19年前の同人誌の記憶。
そして、2015年の今。
まさに「時の迷宮」の中で、自分だけが変わらずのまま、朽ちていこうとしている。
「マロコ」に置かれていた時を刻む事のない骨董品の時計と同じようにね。

欅並木では屋外コンサートのバイオリンが「G線上のアリア」を奏でていた。
その音が青空を抜ける綿菓子のような積雲とシンクロする。
まるでレクイエムのように。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/