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墓参りに想う

日常
08 /02 2013
先日、多摩墓地にある家の墓参りに赴いた。
3年ほどご無沙汰だったので樹や雑草が生い茂ってジャングルのよう。
藪のようになっていたほうがアンコールワットやマヤ遺跡のようで趣きがあり、墓所として理想なのだが、隣の墓の持ち主から苦情が出たとかで仕方なく掃除をする。
この日は35C近く気温があって汗だくになって草刈や枝の剪定をする。

生前の父は足繁く多磨霊園に通って墓参りしていたようだが、78歳で亡くなると途端に先祖の墓の管理が疎かになった。
本来、長男である自分が墓の掃除などすべきなのだが、甲斐性もなく妻も娶れず子も居ない情況では代々継がれてきた先祖の御霊の眠る墓所の管理も間々ならない。
家庭をもたないとそういった家の行事がどうでもよくなってしまうのだ。
きっと墓の中の先祖の魂は怒っているだろう。
「お前の愚かな生き様のせいで我が家系を潰す気か!恥を知れ」とね。

どこかの映画で「生きねば」というキャッチフレーズがあったような気がするが、それは未来に生きる希望をもっている者が呟く専売特許。有形無形の「財産」を持たぬ人間にとって生きる動機付けなど、さしてない。

子供の頃、親に連れられて通った墓参り。
それは楽しかった。
先祖の墓とは家族総出でお参りし、過去、現在、未来を省みる貴重な空間だ。
先祖なくして己はない。
そして己なくして未来はない。

半世紀強生きた夏。
草ぼうぼうの我が先祖の墓を剪定し終え、線香を供え、一人佇む。
墓参りを共にする妻も、未来への希望たる子供もいない。
激しい蝉時雨が覆っているだけ。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/