アメリカの銃女子力と平和憲法

報道
03 /09 2013
先日、NHKBSが流したアメリカABCのニュースにこんなのがあった。
乱射事件で幼い子供が多数犠牲になって以来、一般の女子が銃を買い求め、シューティング場では可愛い柄のグリップでデザインされた銃を手に射撃に勤しむ女子で盛況なのだとか。
銃を持てば、身を守るより、暴発や事故で命を失う率のほうが高いと銃規制派は訴えるが、シューティング場に集う女子はこう反論する。
「自分の身を自分で守る権利は誰からも侵害されたくないわ」

相変わらず、中国公船による尖閣諸島領海侵入が続いている。
ニュースによると海上保安庁の船舶が足りず、その補填のため海自の旧式艦を譲り受けたいと。
しかし自衛隊のほうは人員まで貸し出すのは勘弁して欲しいと述べたとか。
これが本当なのかは知らない。
だが、これが仮に事実とすれば、領土保全よりも組織維持が大切だと言う事か?

オスプレイが本土でも低空訓練を開始したと報じられる。
メディアは近隣の自治体が事故の危険性を危惧する声を挙げていると伝える。
安全保障の一翼を外国軍隊に委ねざるを得ない状況が生んだ代償である事は紛れもない事実。
だが、近隣の軍拡国家に自らの領海領空を侵犯される状況を看過する一方で、安全保障を結んでいる外国軍隊の活動を批判する滑稽さは実に香ばしい。
自分で自分の国を守ろうともしない者が米兵に物申すみっともなさになぜ気が付かぬ?


震災時、福島第一原発の上空を偵察したのは、アメリカの無人偵察機グローバルフォークであった。
どうして日本の航空機は使われなかったのか?
なぜなら日本にはそのような機材がなかったから。
しかし、その気になればグローバルフォークのような無人偵察機を震災以前に自衛隊に配備する事は不可能ではなかったと思われる。
国家の存亡に拘わる重大原発事故にも拘らず、安全保障に備える発想の絶望的な貧困さで他国頼りにならざるを得ない状況が此処にも現れている。

憲法改正議論が俄かに沸いてきた。
日本国憲法制定よりその第9条を「毛沢東語録」のように振りかざして、得られたものはなんだろう。

9条の理念が崇高であることに疑いはない。
しかし、現実世界でその崇高さが実践できたのか。
否。
そんなことは一度たりとも訪れなかった。
もし実践する気があったなら1億全国民が総出家して崇高な志を持ち、飢え細っても「祈り」のみで生きる事を選択しただろう。
その時初めて9条は生きる。
だが戦後日本は一度たりとも出家僧で構成された国になったことはない。
むしろその逆だ。
かつてエコノミックアニマルを呼称されるほどの典型的な俗人集団となった戦後日本人が恒久平和のために武力を放棄する理念を謳ったところで誰が信じる?
振り込め詐欺師に全財産を預けるようなものだ。

つまり現実世界では憲法9条は何の役にも立たってくれない。
役に立っていれば世界中の国家がこの条文を採用するはず。
しかし、そんな話は聞かない。
「毛沢東語録」と同じく、国民を世迷言で惑わすだけ。

ところで「毛沢東語録」に記された教条を採用した国が一つだけあったような気がする。
クメールルージュのカンボジアだ。
毛沢東主義を掲げた彼らは何をしたか?平和で平等な恒久理想国家を打ち立てたか?
否。
自国民を飢えと虐殺で苦しめ、何百万と言われる犠牲者を生んだ挙句、他国に侵略され自壊自滅した。
毛沢東語録も憲法9条も手に掲げて行進する時のアイテムに留めておく程度が幸いだろう。

ラジオから宝くじのCMが流れる。
「いい事してるんだからそろそろ当ててよ」。
憲法9条も似たようなものだ。
「9条という平和憲法があるんだからそろそろ領海を侵犯するのやめてください」
それで中国は聞き折れてくれたか?
宝くじ並の「神頼み」で国民の生命財産を委ねている滑稽さ。
それが日本。

アメリカの女子たちが楽しげにピンクのキティーちゃんイラストが描かれたハンドガンを手に握り、標的に向かって弾丸を撃ち込む。
彼女たちは叫ぶ。
「自分の身を自分で守る権利は誰からも侵害されたくないわ」

彼女たちがもし、己の安全保障を他人に委ね、我が家の領地を武装した隣人に侵犯されても無抵抗で看過するだけの者を見たら、こう呟くかもしれない。

「自分の身を自分で守ろうとしない者が、隣人に蹂躙されても自業自得だわね」。

現実には暴発や事故で人を殺めたり、自分の命を落とす確率のほうが高かろう。
それでも、人は己の身を守るために武装する。
非武装、無抵抗で祈り続けるのは達観した聖人の専売特許だ。
俗人には崇高すぎて耐えられまい。

零落れ始めた俗人日本が、この現実世界で生き残る闘争を始める日が来るのかは知らない。
だが少なくとも、日本人が崇高な聖人として出家する事など、もう不可能だ。

憲法にキティーちゃんを描いて神棚に飾る事くらいが精一杯。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/