「点数稼ぎ」と「組織防衛」

報道
10 /19 2012
最近、ニュースでよく耳にする遠隔操作で他人に偽脅迫メールを送らせて誤認逮捕という事件。
警察は誤りを認めて逮捕した男性に謝罪するとかなんとか。
謝って済むなら警察は要らない。
誤認逮捕の挙句、無実の罪を着せて社会的、精神的にも著しい打撃を与えたのに謝るだけで済むとは警察も楽な商売になったものだ。
自分もよく職務質問されるが、どう考えても「点数稼ぎ」にしか思えぬ。
自分より遥かに怪しげな者がいるのにそちらを対象にしないのは己が可愛いからである。
楽して点数を稼ぐには当たり障りのないインドア系男子を狙うに限るのだ。
今回の事件も恐らく同じ理由で気の弱そうな青年ばかりを捕まえ「自白」させて、己の業績としたかったのだろう。
結局、警察とはこの程度の組織で「社会秩序」や「正義の行使」とは程遠い事をやっている訳だ。
専門家から見たらアマチュアでも作れそうなトラップすら見抜けない警察は、つまり「アマチュア」以下と同意語。
だから「真犯人」から馬鹿にされるのだ。
それにしても、嘘の自白を強要されるとは如何なることか?
警察にしょっ引かれて取調室に入れられたら最後ということか?
そこには「真実」は存在しなくなるのだろう。
警察の「点数稼ぎ」にとっては「嘘の自白」も必須項目だから、容疑者は「気弱な人間」でなければ困るのだろう。
だからそんな人間ばかりを捕まえるのだ。
それにしても偽脅迫メールを送ったとされて捕まった哀れな青年たちは無実の罪を擦り付けられて挙句、仕事も信用も失ってしまったのにも拘わらず、ただの謝罪で済まされて納得できるものなのか?
普通では考えられない。
実際、もし自分がそのような対象にされたら絶対謝罪だけでは納得しないだろう。
当事者の処分を要求し、民事に訴え、それ相応の賠償を請求するのが法治国家としての一般市民の当然の権利だ。
それを行使しない今回の誤認逮捕者に、なにか空恐ろしさを感じる。
ロボトミー化されて、もうどうでもよくなってしまうのだろうか。
もしかすると取調室で何らかの薬物でも投与されて「無気力人間化」されたのかもしれない。
だから、濡れ衣を被されて人生をめちゃくちゃにされても無抵抗でいられるのだ。
それを考えると、本当に警察には関わらないほうがいいと思う。
たとえ犯罪に遭遇しても110番は極力避けるほうがいいかもしれない。
己の身を守るためには今後、私営の優秀な警護団を雇って身を守るしかないだろう。
しかしそれが出来るのは稀有な富裕層だけだ。
大多数の市民は犯罪者集団と警察の両方から生命、財産を脅かされるのだ。

だが頼りに出来ないのは警察だけではない。
自衛隊もまた、信用に足る組織なのか考えさせられる事例もある。
動画投稿サイトで見つけた『自衛隊だけが撮った0311』というドキュメント番組。

おそらく民放で放映された東日本大震災関連のドキュメント番組と記憶する。
震災時の航空自衛隊松島基地の様子を隊員自らが撮った映像らしい。
ここで描かれているとおり虎の子のF2戦闘爆撃機が大津波で水没し、多数を廃棄処分にせざるを得なかったのは周知の事実。
だがそこに至る経緯が余りにも軍隊らしからぬ様なのだ。
無論これはテレビ番組であり、これが事の顛末の全てではないだろう。
実際、公表できない部分もあるし、防衛機密上のブラフも含まれているかもしれない。
だが、この映像を見る限りにおいては危機感、切迫感というものが感じられず、適切な判断を下していれば貴重な機材を救える可能性もあっただろう。
「隊員の生命を第一義的に考える」というのは間違っていないとは思うが、それは民間に通用する理屈であって軍隊が民間人と同じような価値観で動いていたらそもそも何のための自衛隊なのか?
映像を見る限りにおいては、その他民間人が撮った震災映像と殆ど変わらない。
津波が来るまで家族に携帯で連絡を取ったり、屋上から津波の来る様子を撮っていたりと。
そのうち停電になって基地の機能が停止して、挙句為す術もなく津波に機材を浚われ、百里基地から僚機が遣って来るまで何も出来ない様子は少なくとも真っ当に職務を遂行している姿とは程遠い。
いくら優秀な装備を備えても「想定外の奇襲」を受ければ、攻撃を受けた側はあっけなく壊滅するのは世の常だ。
パールハーバー然り。
だからこの松島基地の状況が著しく怠慢だったともいえまい。
だが、震災時、急いで駐留機を空中退避させる術を取らない理由がよく解らない。
番組内では天候が悪く、離陸は不可能だったとしている。
しかし、同時刻には多数の報道ヘリ、警察、海上保安庁、陸自、海自等の航空機が宮城、岩手、福島上空を飛行し被災地の映像を空撮したり、偵察も行なっている。
なぜ、松島基地だけが何もしていなかったのだろう?ここだけピンポイントで猛烈に悪天だったのか?
恐らく、飛ばそうと思えば飛ばせないこともなかったのだろう。
しかし、万一事故が起きて市街地などに墜落したらどうなるか?
マスコミは挙って自衛隊の「暴挙」と騒ぎ立てるだろう。
自衛隊への批判が高まれば己の組織に傷か付く。
そんな思いが働いて航空機を飛ばせなかったのではあるまいか。
つまり、国家防衛よりも組織防衛が優先的に働いたのである。
だから飛ばせなかったのだ。
隊員の生命と組織防衛を優先したばかりに虎の子の装備を失い、災害救助にも赴けない状況を作ったのではないか。
万に一つの事態にも備えるのが軍隊だ。大津波は予想されていたにも拘らず、それに備えなかったのはもはや軍隊とはいえない。
松島基地のF2は訓練用で迅速な離陸は不可能だったと言われる。確かに理屈ではそうだ。
でも救難ヘリまでもが津波が来るまで1時間前後の余裕があったにも拘らず離陸する状況がみられないのは如何なる理由か?。
津波が「想定外」だったからこれも了とするのならば、「想定外」の有事は対応できないと言う事なのか?
訓練用だから「想定外」の事態には緊急発進出来ないと言うのならば、日本奇襲を画策している某国にとってはこれほど楽な相手もないだろう。
恐らく米軍だったら躊躇なく飛ばしていたはずだ。
無理だとしても飛ばす努力をしていたことは想像に難くない。
これが「真の軍隊」と「平和憲法下の自衛隊」の差なのかもしれない。
東日本大震災では自衛隊の災害派遣が好意的に伝えられているが、自衛隊本来の仕事は外敵からの軍事侵略を阻止することだ。
遺体捜索や瓦礫撤去は副次的な任務に過ぎない。
自衛隊はそんな「汚れ役」「尻拭い」のために存在しているのではない。
結局、この震災時における松島基地の状況推移を国が明確に検証した形跡はないし、誰かが処分されたという話も聞かない。
いつの間にか、皆何もなかったように忘れ去ろうとしている。

警察は「点数稼ぎ」に走り、自衛隊は「組織防衛」に固執する。
いざ事が起こっても正義の執行や国土防衛に命を賭して職務を執行するとは俄かに思えない。
警察が守るのは己の身とどこかの賭博業界ぐらいなもの。
そして自衛隊もまた、己の組織防衛最優先で行動するのであろう。
もはや、身の安全を誰に委ねてよいか解らない。

だが、これは警察や自衛隊に限ったことではなかろう。
政治も経済も社会も、いや日本国民全体隅々までもはや「己可愛さ」に引き篭もっているのである。
そんな国にもう未来はあるまい。
みんな引き篭もって、最後は己の塒の穴で生き埋めになって死ぬのであろう。

だからもう何もかも諦めるしかないのだ。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/