旧態依然な巨大遺物ふたつ

日常
03 /23 2012
今日から東京スカイツリーの一般入場券予約が始まるという。
5月中旬のオープンから夏休み前までは完全予約制らしい。
スカイツリー自体にはそんなに興味はなかったのだが、昔からいち早く超高層建築物に登りたいという性癖があり、その古傷が疼く。
実は新宿都庁舎も横浜ランドマークタワーもオープン初日に足繁く並んで入場したのだ。
だから、このスカイツリーも出来るだけ早く登って、発作を抑えておきたい。
無論これだけマスコミが騒いでいるため、今回は初日入場は無理と諦める。
だが、予約入場期間中には登っておきたいという衝動は抑えきれずパソコンでオンライン予約を試すが、案の定繋がらない。
埒が明かないので、もう一つの選択肢、東武トラベル窓口で受付することに。
最寄店は西新宿の新宿センタービルにあるらしい。
所用ついでに新宿に赴く。

さて、新宿駅を降りて西口地下広場に出ると、なにやら広場全部の広告パネルが全て統一されていた。
4月から始まるスマホ専用放送局の宣伝だ。
最近、ネットやテレビでよく目にする類のキャラクターも描かれている。
これはアナログ地上波テレビの周波数を再利用するモバキャスという有料放送らしい。
奇しくもスカイツリーからの実用放送第1号とか。
宣伝文句の「待ち合わせの間にNOTTVを」とかいうコピーが目に止まる。
だが、スマホユーザーがお金を支払ってまで、このようなTVを観るとは思えない。その上、屋外ではスマホの電源が限られているのもネック。
コンテンツも旧態依然の「テレビ臭」がこびり付いている予感で充満している。

テレビとは茶の間で家族団らんが成立していた時に全盛を誇った映像媒体。
家族制度が崩壊した今、もうテレビという媒体は過去の遺物と化している。観ているのは高齢者ばかり。
無数の価値観に応えるスマホのアプリと比べたら、もはやテレビは太刀打ち出来ない。
無料のワンセグすらオーバースペックなのに。
にも拘らず、この派手な宣伝は見ているだけで痛々しくなる。

そんなことを思いつつ、目的地の新宿センタービルへ。
東武トラベルに着いたのは15時頃。
行列もなく、2~3人の客がカウンターにいるだけ。
世間の騒ぎに比べ至って平穏。
受付で説明を聞く。
予約は完全抽選制で一人2日分選べる。
用紙に希望の日時をチェックし、名前と電話番号を書いて終り。実にシンプル。
今回予約申請出来るのは5月分だけ。6月、7月分はまた後日申し込まなければならない。
なんだか面倒くさい。
競争率も高そうで簡単には抽選に当たりそうになし。
ただ、完全抽選制なので急いだところで意味はない。
店の中を見ると入場申し込みに来ているのは暇そうな初老の男性ばかり。
そういえば東京ゲートブリッジ初日の行列も老人ばかりだったな。

そう、スカイツリーもそこから発せられる新規テレビ局も、関心を示しているのは消費意欲の乏しい老人が殆ど。
思考が硬直化し、新しい発想で物事を進められない日本が創造するモノといったら旧態依然とした巨大卒塔婆たる東京スカイツリーや昭和家族団らんの遺物であるテレビぐらいのもの。
世は携帯WEB末端たるスマホを駆使して情報をやり取りする時代なのにも拘わらず、未だテレビとタワーという昭和元禄的遺物に巨大投資しているお粗末さ。
これはある意味、悲劇だ。
その悲劇の象徴が東京スカイツリーであり、モバキャスTVなのだ。
両方とも、恐らく2~3年で廃れてしまおう。
後は空しき廃墟としてその骸を凋落日本の空に晒し続けるのだ。

そんな完成する前から「過去の遺物」と化すであろう東京スカイツリーの展望チケットを急ぎ求める者もまた「過去の遺物」なのかもしれない。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/