今年最初のフルムーンの夜

日常
01 /10 2012
天頂にフルムーンが輝く。
1月も10日が過ぎた。
新聞を見ると、首都圏のある県で人口減が始まったという。
予想より早く、やがて東京でも数年のうちに人口減がやってくるだろうと。
昨年の原発事故と震災の影響も人口減にアクセルを踏み込ませた。
噂によると都心部ですでに人口流出が始まっているという。
首都圏の土地を捨て、どこへ行くのか?
日本の原発はこのままで行くと今年前半には全て停止するという。
一方、イラン情勢は風雲急を告げ、ホルムズ海峡封鎖も現実味を帯びている。
日本の原油は中東依存が未だ85%だそうだ。
この海峡が封鎖され、原発も全部停まれば、日本はどうなるか?
語るまでもないだろう。
加えて少子高齢化、膨大な国家財政赤字、円高による産業の空洞、中国の台頭等、日本の将来に明るい兆しなどまったくない。
ここに再び大きな自然災害や国家間紛争がこの日本列島に巻き起これば、一気に崩壊が始まる。
円は暴落。アメリカは日本を見捨て、在日米軍は全面撤退。混乱に乗じて中国は日本を武力占領。略奪の限りを尽くしてこの国から金目のものを吸い取ってしまう。
主だった富裕層、財界人、著名人は難破船から逃げ出すネズミの如く、この日本列島から姿を消す。
残されたのは貧困者と膨大な老人の群れ。
産業は停止し、流通は止まり、街から生活必需品が消える。程なく電気もガスも水道も供給を停止するだろう。
都市部はパニックと暴動で阿鼻叫喚。東京や大阪、名古屋、福岡は火の海となり7日間燃え続ける。
混乱の中で何千万の哀れな日本人が死んでいく。
僅かに残った者だけが農村部に逃れ、自給自足で飢えを凌ぐ。
かつて経済大国といわれた日本は、こうして僅か数年で滅びるのだ。
自分が生きているうちに、日本の終わりを目撃することになるとは。
いや、目撃するまで生きているかどうか。
2011年の東日本大震災と原発事故が日本終了のプロローグであったことを自覚する日本人はどれだけいるか。
改めて、あの大津波と原発爆発が尋常でないスケールだったことを思い起こすがよかろう。
幾多の都市が海に飲み込まれ、2万人近くが犠牲となり、放射能が首都圏にまで撒き散らされた。
その影響は今後何十年と続く。
まるでB級SFのような「終末事変」が実際に起こったというのに、日本人は何事もなかったかのように正月を祝う。
これが日本終了のプロローグだと考えまいと人は必死になって平静を装う。
だが平静を装うとも「終末」はヒタヒタと忍び寄ってくる。
天頂の満月は全てを悟って居るかのように無言で我々を照らし出す。

焼け野原の東京で、人は思うのだ。
「東京スカイツリーは結局、日本の墓標だったのだな」
合掌。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/