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時間の止まった神保町

日常
11 /24 2011
先日、所用で秋葉原から神保町まで歩く。
最近はあまり足を運ばなくなった街だ。
家電関連は家の近くの吉祥寺ヨドバシで済ませてしまうし、書籍もネット検索で処理してしまう事が多く、秋葉原も神保町も縁遠くなった。

久々に降り立った秋葉原電気街口。
すでにラジオ会館は解体中。
メイド喫茶の呼び込みは、以前よりも増えていた。
思わずメイド姿のお姉さんからチラシを貰ってしまう。
社会経験として1回位覗いて見るのもよいかと思うが未だ訪れた事はない。
一人で入る気にはなれないのだ。
まんまと罠に嵌った獲物みたいな気分になって恐らく純粋に楽しむことは出来ないだろう。
入ったら負けたと思ってしまう。
メイド店員は本音では誘いに乗ってきた客をキモイと考えているに違いないと。
しかし、その辺りは客も折込済みで割り切って楽しんでいるのだから、そんな穿った考えを持ってはいけないのだ。
割り切れない人間はメイド喫茶に入る資格はないんだろうなあ。

そんなメイド客引きで溢れるメインストリートを過ぎると秋月電子をみつける。
電子部品を扱う店は昔と変わらぬ店構え。扱う商品も客層も同じに見える。
店のレイアウトも恐らく30年近く変わらない。
時代がデジタル化してもこれらは永遠に不滅なのだ。

秋葉原を後にして御茶ノ水経由で神保町へ。
学生時代、よく通った古本屋街。
こちらもまた動かざること山の如し。
店構え、扱う商品、客層等、その全てが当時からまったく変わっていないように感じる。
ワゴンに積まれている本すら30年前と同じものと錯覚するほどである。
書泉グランデも久々に立ち寄ったが各階ジャンル別に区分されている仕様も変わっていない。
ネット時代になって書籍というモノの価値が揺らいでも、尚、神保町の書店街が不動の存在で居られるのは如何なる理由か?
やはり質量を有する紙媒体の上に執筆、編集、印刷、出版、流通、販売を通じて幾重にも焼き付けた人間の業が乗り移っているからだろう。
ネットで得られる情報はあくまで一過性のもので、知識として貯えられるものではない。
知識を得るためにはまだまだ紙媒体たる書籍に頼らねばならないのだ。
極めつけは「芳賀書店」である。
かつて男たちが屯した煩悩の館。
それがそっくりそのまま残っているのだ。
棚の前で己の性欲解消のために商品を物色する男たちの姿も同じ。
ネットでいくらでも無修正の動画が得られる時代に、尚も「芳賀書店」に赴く煩悩力の脅威を垣間見た。
おそらくネットで拾って来る画像より、道端に落ちているブヨブヨのエロ本にエロスを感じてしまう感覚と似ている。
まるで時間が止まったサルガッソー海たる神保町。

29年前、武道館で行なわれた大学の卒業式後、数人の後輩たちと歩いたこの街がそのままの形で存在している。
もしかすると、あれから1分たりとも経過しておらず、あの頃の自分がここに佇んでいるのではないかという錯覚に捉われた。
22歳の自分と51歳の自分がシンクロして同時に神保町にいるのだ。
何か不思議な力でね。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/