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潔癖症候群に辟易

日常
10 /28 2011
屋根裏にネズミが徘徊し始めて久しい。
以前は釈迦利器になってネズミを追っかけていた飼い猫は18歳を超えて隠居。もう寝ているだけ。
ネズミはいい気になって真夜中、台所に侵入するようになった。
阿佐ヶ谷某BARのマスターが語る。
「最近、ネズミが多いのは野良猫が少なくなったからかも」

テレビを見ていると、やたらスズメバチを悪者扱いしての駆除特集が目に付く。
だがスズメバチは芋虫等を大量に捕獲するのである意味「益虫」なのだ。

狼を駆除した結果、どうなったか。
鹿が増えすぎて山林食害の著しい弊害を招いた。
天敵をなくしてしまった結果、食物連鎖のバランスが崩れたのだ。

野良猫しかり、スズメバチしかり。
これらを「駆除」したところで万事安泰な生活環境が保障されるわけではない。
ネズミが増え、芋虫が大量発生し、結局人間の生活を苦しめる。

過剰な「潔癖症候群」が自らの首を絞めているのだ。

何やら、自転車を歩道から追い出すキャンペーンが始まるらしい。
歩行者との衝突が問題視されているとか。
無灯火、ブレーキ無しなどは論外としても、なぜ自転車が歩道を走ってはいけないのだ?
自転車は建前上、車道走行が原則らしいが、日本の道路事情がそれを許さない。
そもそも歩道で高速を出す自転車など知らないし物理的に無理だ。
狭苦しく、人で溢れている歩道でスピードを出せる訳がない。
猛スピードを出している自転車は例外なく車道を走っているだろう。
急に今になって歩道から自転車を追い出さなきゃいけない緊急性がどこにあるのか?
歩行者との接触など今に始まった事ではない。
歩道を歩いている時、後から自転車が来ていることに気が付かず、ベルを鳴らされる事は多いが、だからといって、自転車が著しく邪魔なんて思ったこともない。
誰が「自転車は車道に戻すべし!」と言出だしたのだ?

これも「潔癖症候群」のひとつ。

自転車の機動性を阻害するだけで、百害あって一利なし。
歩道でこけたり、歩行者に接触するレベルで命に関わるケースは稀だろうが、車道でこけたら相当の確率で死ぬ。
自転車が車道を走り始めたらむしろ車と自転車とのトラブルが増えるのは目に見えている。
車道に自転車が溢れたら、今度はドライバーから文句やケチがつくに決まっている。
こんな狭っ苦しい日本の道路で「潔癖」を押し付けたところで、ろくな事にはならない。
自転車の利点が何たるかを知るべきだ。
昭和40年代は歩道もないただのアスファルト道をダンプ、歩行者、自転車分け隔てなく渾然一体となって走り回っていたのだ。
多少、人とぶつかろうと構っていられなかった。
そんな時代から比べれば、どれだけ安全になったか。
そんなに歩道から自転車を追い出したいのなら、まず自転車レーンを整備してからの話だ。
警察は他にやる事がないのか?

昭和30年代の吉永小百合主演の映画では、工場の煤煙さえ「生きている証が感じられるいい香り」と謳っていた。
それに比べ、微量の放射線に血眼になる世相も含めて昨今の「潔癖症候群」には辟易する。
そこまでして潔癖を追求したいのなら一生涯「無菌室」に閉じこもっていればよろしい。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/