放射能禍とこっくりさん

報道
10 /13 2011
テレビを見ていたら、世田谷で観測された高いレベルの放射線源は隣接する民家の床下から見つかった古い瓶だったという。
東日本大震災以来、原発事故によるホットスポットは福島から遠く離れた所からもみつかっているという。
でももしかするとこれらホットスポットのいくつかは原発事故以前から元々数値が高かった可能性もある。

放射能汚染地区を特定するには事故前と事故後を正確に比較しなければ意味がない。
しかし思うに、恐らく今回のように人知れず高い放射線源が放置されている例は少なくないのだろう。
にも拘らず、これまでは誰も関心をはらって来なかった。
何故ならば何も起こらなかったから。

低レベルの放射線を浴び続けて人体に如何なる影響が出るかは、まだまだ「ブラックボックス」の部分が多く、一概に危険か安全かを断定することは出来ないというのが現状での科学的な結論らしい。
広島、長崎、チェルノブイリも高レベル被曝者以外の致死率を確定したという話は聞かない。
だから「危険」と信じる者はひたすら恐怖を煽るし、逆に「安全」と信じる者は平然と過ごす。

先日のNHKの歴史番組で知ったが、明治時代に「妖怪博士」と呼ばれた学者がいたそうな。
当時流行った「こっくりさん」を科学的に解明して人々に蔓延する世迷言を諭していったとか。
今日の放射能禍も、なんだかこの「こっくりさん」に似て己の都合の良いように解釈することで己の「自己正当化」を謀る手段にしているような気がしてならない。
今回の原発事故は結局「非科学的世迷言」を人々に蔓延させる結果となった。
机の上の10円玉を指で操り、己の暗示で都合よく動かして「ほら!危険だ!」、「ほら!安全だ!」とやっているようなもの。
そこに科学的裏づけは何もない。
結局、日本人は明治時代と何一つ進歩していないのだ。

今回の放射能禍に限らず、記憶に新しい「世迷言」は数知れない。
家庭用焼却炉でゴミを燃やすとダイオキシンが出ると騒ぎになった時は、落ち葉焚きをするだけで毒が撒き散らされるという勢いだった。
パンデミック騒ぎの時も、飛行場で検疫官が右往左往し、国民全員がマスクをして家の中に隠れ、異様な状況を醸し出した。
だがそれで、一体、何人の日本人が犠牲になったのか?
1万人?10万人?100万人?
否。
少なくとも、同じ時期に交通事故で犠牲になった人や自殺者数と比較しても圧倒的に少なかったはずだ。
もしかすると自宅の風呂場ですっころんで骨折した人数よりも少なかったかもしれない。
ずっと先に影響が現れるとしても、どうやって証明するのか?
結局のところ、あれは「世迷言」に過ぎなかった。
焚き火の毒で人が死ぬなら縄文の時点で日本人は全滅していた。
新型インフルエンザで大量死が起こるならば風邪が流行るたびにペスト並の禍が起こっていなければならない。
いずれも「非科学的世迷言」に踊らされた結果に過ぎない。
そんな「世迷言」に惑わされ右往左往するほうが余程身の危険を招いている。
ホットスポット探しに血道を上げている者も居る様だが、放射線の危険よりも町をうろついて車に轢かれる危険性のほうがずっと高い。
結局のところ、此処に至ってバタバタした者が馬鹿を見るだけだろう。

本当に「危険」と信じたいのならば、グダグダ言わず日本を出ればよい。
誰も止めはしない。
そういう「行動力」ある人は、恐らく「ダイオキシン」や「パンデミック」の時もどこかに「避難」していたんじゃないのか?
但し海外で暮らしていける財力や仕事、コミュニケーション能力は自前で用意しないとダメだろう。
でも海外から見れば日本全土、日本人皆「放射能汚染」していると思われている可能性も高いので、その「差別」にも耐えられるモチベーションも必要だ。
まあ「こっくりさんが危険だと言ったから逃げてきた」レベルでバタバタするぐらいなら、動じずに大人しくしていたほうが賢いとは思うが、どう動くかは本人の自由。
全て自己責任だ。

もし、あの「妖怪博士」が今でも生きていたら、この「放射能禍」をどうみていたろうか?
興味深い事ではある。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/