国営の漫画アニメ博物館「国立メディア芸術総合センター」

報道
07 /01 2009
なにやら漫画やアニメなどを収集、展示する「国立メディア芸術総合センター」(仮称)なる施設を造る造らないで揉めているような報道を聞いたが何をやっているのか。
景気対策云々で「はこもの」の一つとして与党の誰かが予算を付けたそうである。
100億ちょっととか。
それで「税金の無駄使い」だとか「国営漫画喫茶だ」とかで反対意見があって、漫画やアニメの現場からも「箱物よりもっと現場の待遇を改善することにお金を」と批判的な声が多いとか。
自分からすると、わざわざ国がお金をだして施設を作ってくれるというのだから「渡りに船」でのっかってしまえばいいのにと思ってしまう。
どうせ、本気で日本コンテンツ産業の事を次世代基幹産業にと考えている議員も官僚も居ないだろうし、適当な「思いつき」のレベルで企画されたものだろうとは推測するが、それでも「造る」と言ってんだから自由に使わせてもらえばいいじゃないかと思う。
実際、漫画原稿の保管とかは漫画家にとって切実な問題であることは確か。
これまでは本人が死んだりすればよほどの著名漫画家でない限り、いや著名であっても霧散する可能性は大きくて、基本漫画原稿は「破棄されて当たり前」な存在でもあった。
存命中であっても出版社のずさんな管理で紛失することも多かった訳で、もし公共の場できちんと管理保管してくれる施設があればそれに越したことはない。
現場の人たちまで反対する理由がよくわからない。
アニメ、漫画製作現場の環境劣悪は今に始まったことではないし、またこれからもそんなに変わらないだろう。
好きじゃなければ出来ない仕事だから逆に給与が多少良くなったとしても作品の質が上がるわけでもない。人気商売だから人気のないものが貧困なのはある意味覚悟しなければいけない。
結局、人気があるクリエーターだけが美味しい思いをするのは何処の世界でも同じ。
その人気クリエーターはお金があったとしても自分のことに手一杯で漫画界全体に貢献するために活動する人は稀有だ。出版社版元も売れない漫画家のことなど眼中にもない。
だから、公共の施設がどういう目的で作られるにしろ、施設が存在してくれれば今まで日の当たらなかった作品やクリエーターは救済されるんじゃないかと思う。
ヘンリーダーガーだって(漫画家ではないが)たまたま見識のある画商の目に留まったから世に知れたわけで、こういう公共施設があればマイナー作家でも人の目に触れるチャンスを得ることにもなる。
たとえ本人が死んだ後でも原稿が保管されていれば後世に可能性を残すことが出来る。
この施設を「無駄」と言っている人はそんなクリエーターの可能性などいらないと思っているのだろうか。
既存の施設を使えばよいという議論もあるが、でっかいものをわざわざ国の金で造ってくれるというのだ。「千載一遇」のラッキーをありがたく受け止めればいいじゃないか。
施設は多いに越したことはないのだから。
容積が増えれば増えるほど保存出来る作品や作家の数は多くなる。
この施設をあくまで否定する漫画、アニメ関係者ってなんだか心底貧乏根性が染み付いている感じがする。
いつまでも「ときわ荘」の時代ではないのだ。もう少し発想のステージを上げたらどうだろう?
たかだか100億円ちょっとだよ。こんなの他の無駄な公共事業に比べたらスズメの涙ほどのもの。
ありがたく頂戴いたしますと言えばよいのだ。
もっとも、与党も本気で漫画家やアニメーターなどのクリエーターの将来を考えて造っているわけではなく土建屋のために計画したのは明白。
野党もこの施設を「国営漫画喫茶」などという卑下した扱いで計画自体を潰そうとしているから現実化は難しそうだ。
国が本気で日本コンテンツ産業のことを考えているならば「児童ポルノ防止法改正案」なるものに賛成するはずもないが与党野党こぞって改正に向けて動いているらしいから、まあ「推して知るべし」。
このあたりの審議を見ていると絶望的になってくる。
結局のところ、未だ日本の行政立法に携わる者の中に、漫画、アニメの真の理解者は存在していないということだ。
フランスでは国営の漫画保存施設を税金で作っているというし別に国民からの反対もなかったそうだ。
遅かれ早かれ、かつての浮世絵と同じように日本の漫画原稿も国内から霧散し、わずかなものだけが欧米のコレクターの下に渡るだけと相成るだろう。
まあ、まじめに期待するだけ馬鹿馬鹿しいのかもしれない。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/