「恥曝し大国日本」万歳!

報道
06 /14 2011
誰が言ったか知らないが日本は「技術立国」なんだそうである。
阪神大震災の前、日本では「耐震対策万全なので地震で高速道路の高架が崩れる事はない」と謳っていた。
東日本大震災の前、日本では「三陸の防潮堤は世界一だから安全だ」と謳っていた。
同じく、東日本大震災の前、日本では「原発は耐震対策万全で電源が全て失われる事もありえないから安全だ」と謳っていた。
日本は「技術立国」なのだから、海外の震災時に見られるような脆くも崩れ去る建築物の事象はありえないと。

そしてその「技術立国日本」の看板が如何に出鱈目だったかは今更言うまでもない。

先刻、NHKを見ていたら日本のロボット開発者が何人か出演して己の開発した人型ロボットの「自慢話」を繰り広げていた。
なにやら、人の表情をシミュレーションして人そっくりに動かすとかの類。
テレビが「ロボット大国日本」をステロタイプで取り上げるいつものパターンである。

この「ロボット大国日本」の看板も、如何に実体のない虚構であったかは、今回の東日本大震災に伴う原発事故の現場を見たら一目瞭然であろう。
そこには日本のロボットの姿はなく、動き回っているのは海外の軍事用ロボットであった。

ロボットの存在意義とは何か。
言うまでもなく、人間が立ち入れない過酷な現場で人間の代わりになって活動できる事である。
人をシミュレーションするためにあるのではない。
人に代わって創造し、人に代わって死ぬのである。
道具として、文明の利器として、実践的に活用できなければ何の価値もない。
実際の現場で役に立たなければ、ただの玩具である。

このテレビに出ていた技術者をロボット開発者と呼ぶ気にはなれない。
寧ろ「電子玩具技師」と呼称したほうがよさそうだ。
中途半端なヒューマノイドを作ったところで所詮「見世物小屋」が関の山。
そう、総じて日本の「人型ロボット」は見世物の域を出ない。

欧米では、戦場、宇宙空間、深海底、高レベル放射能地帯などで活用できるタフで実践的なロボットを膨大な予算を投入して開発している。

「平時」では一見無駄に見える投資でも、想定外の危機や戦争に際しては一転して威力を発揮する。
だから、福島原発に投入された訳である。
即ち、ロボットなるものは「兵器」に準じる扱いで開発しなければ元は取れないのだ。

果たして日本にその意気込みはあるか?
否。
微塵もない。
国家レベルにも、現場レベルにも本気でロボットを兵器として投入しようとする気概は何処にもない。
予算も組織も意欲も何もかも。
こんな状況では本当に役に立つロボットなど絶対に開発できない。
断じてね。

この番組でも取り上げられていたが、震災時に日本のロボットが役に立たなかった事に、自称「ロボット開発者」たちはこう言い放つ。
「原発現場ではダメだったが避難所や病院では活躍できそうなものがあるよ」
それで出てきたのはアザラシの形をした玩具。

なんだこれは?
これをロボットとでも言い放つのか?
馬鹿にされたような気分だ。
昭和40年代のおもちゃ屋に転がっているようなアザラシの縫いぐるみを引っ張り出して「これがロボット大国日本の開発した最高の製品でございます」と自慢するのか?
冗談も程々にしてもらいたいものである。
こんな体たらくでよく「ロボット開発者」を名乗れるものだと思う。
恥を知るべきなのだ。

日本のロボット開発でよく使われる詭弁で代表的なものがある。
「欧米のロボットは軍事利用に偏っているが、日本のロボットは福祉や介護利用を目指している」

馬鹿なことを抜かすものも程々にしてもらいたいものだ。
軍事だろうが福祉だろうが、優秀でタフなロボットでなければ役に立たない。
自動車が最初から福祉用に作られた道具か?
戦争によって飛躍的に性能がアップされたからこそ、今の車がある。
だから副次的に福祉でも役に立つ程に至った。
元のスペックが優秀であればどんなことにも転用出来る。
福祉にだけに特化された道具など存在しない。
飛行機然り、船然り。あらゆる文明の利器は「兵器」としてその性能を飛躍的に向上させてきた。
好むと好まざるに拘わらず「兵器」は富を産む。
これは紛れもない事実である。
だから投資家や国家は「兵器」に惜しげもなく資金を投入する。
一方で介護などという、これから死に逝く者達の「後始末」のために投資する者は居るか?
少子高齢化は文明の衰退であり、そんな衰退しているところに金を突っ込む愚か者はいない。
だから福祉、介護目的のためだけにロボット開発なんて詭弁の極みである。

実際、試験的にしろ福祉、介護現場で日本製ロボットが投入されたという話は聞かない。
臨床試験するにも人も資金も経験も導入意欲も足りないそうだ。保険も利かない。
要するに、現状では「お荷物」「役立たず」ということらしい。
挙句、出てくるのは「アザラシの玩具」である。
あの程度なら中国あたりが大量生産して、日本の出番は何処にもないだろう。
結局まともな実践的ロボットは欧米に席巻され、玩具まがいのロボットは中国に市場を押さえられる。

ここまで来ると、日本のロボット開発現場は「無能の極み」と言わざるを得ないだろう。
詭弁で惑わされ、現場の技術者は単なる技術のマスターベーションで玩具まがいの機械を捏ね繰りまわし、お茶を濁すだけ。
この何処が「ロボット大国」なんだ?
気の毒な位、惨めである。

これが「ロボット大国日本」の実態なのだ。
この現実を真摯に受け止め、自称「ロボット開発者」は恥じ入って、己を律する必要がある。
何よりもロボット開発に対する国家と企業の姿勢が無関心という事に最大の悲劇がある。
国に先進的な発想のある賢者は居らず、企業は円高で青息吐息。ロボット開発に回せる資金は何処にもない。
もはや全てが「万事休す」である。

では、真の意味での「ロボット立国」であれば如何なる処置が必要か。
即ち、今回の事態に合わせれば、国家が直ちに90日以内に原発で作業できる耐放射能人型ロボットを開発する命令を発する。
国内のロボット開発者を召集総動員させ、国家予算の10パーセントを投入し、マンハッタン計画の如く、関東の一角に広大なロボット開発都市を作るのだ。
この開発プロジェクトに拘わる総数は約100万人。
そして計画期間内に、ガンダム型モビルスーツのプロトタイプを完成させ、原発現場に投入。
実戦経験を経て3年以内に量産型を1万体生産できる体制を整えるのだ。
原発事故はポジティブに解決され、新たなロボット産業は雇用を産み、若者の就業者数は飛躍的に増大。
モビルスーツは、日本の新たな基幹産業となり国民の自尊心も回復しよう。
また、モビルスーツと平行に開発された美少女ヒューマノイドも飛躍的な性能向上を見せ、実践可能なセクサロイドとして急速に市場を拡大しよう。
稚拙ながらこのような原型もある。

「兵器」と「性」は産業発展の原動力だから、日本のモビルスーツと美少女セクサロイドはあっという間に世界を席巻し日本は名実共に「ロボット覇権国」として君臨できよう。

これが真の「ロボット大国日本」の姿なのである。
これを為さずして、何が「ロボット大国」か。


2011年の日本。
高速道路は堕ち、防潮堤は突破され、原発は尽くメルトダウン。
そして役立たずの日本ロボット。

これが「技術大国日本」の実像だった。

結局、日本のロボット界は、アザラシモドキの玩具で痴呆老人を欺く位が関の山という事だけは解った。
もはや、今日に至って「技術立国、ロボット大国」などという看板は即刻おろすべし。

2011年に相応な看板はこれだ。

「恥曝し大国日本」。

これを首から提げていれば更なる恥を晒してもショックは些か軽減されようぞ。

よかったね。アザラシ君。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/