災いでしかない地デジ化

日常
06 /05 2011
地デジ化災難。
地上波テレビデジタル化に伴うアナログ放送終了までまであと1ヶ月ちょっとらしい。
まったく関心がないのでそのままスルーするつもりなのだが、実家の親が強迫観念に駆られ「早く地デジ化しないと大変な事になってしまう」と喚く。
地上波テレビがデジタル化されたからといって何が新しくなるものでもなく、いっそテレビを捨てる良い機会なのだから7月からラジオにしろと親に言い聞かせているのだが、まったく聞く耳を持たぬ。
日本の70代以上は「お上」の言う事には従順で無条件で受け入れないといられない厄介な世代。
かつて昭和30年代の高度成長期、「三種の神器」と言われたテレビ、洗濯機、冷蔵庫は誰もが例外なく買い求め、横一列になってあっという間に普及したのが良い例。
その頃の現役世代が高齢者となり、地上波デジタルもまた同じように横並びで購入しないと気が済まないらしい。まるで地上波デジタルテレビを受信できないと「村八分」にされる勢いだ。
そんな強迫観念に駆られ、老人は我も我もとテレビを買い替え、アンテナを交換する。
まさに狂気じみている。
「一億総中流」の幻想を未だ引きずっているのだろうか?
勘弁願いたい。
それはさておき、親があまりにも煩いので事情を聞いてみると、とんでもない事をのたまう。
「地デジのアンテナ工事は15万円かかるそうだよ。お金を用意しないと」
何じゃそりゃ?
たかが、UHFアンテナに交換してケーブルを引き込むだけで15万など掛かる訳がなかろう!
どこでそんな話を聞いたのだと尋ねると、みんなそれ位の相場で電気屋に依頼しているという。
そんな馬鹿な話があるか!
UHFアンテナなど高くても1万円前後。金具、ケーブル合わせても2万はいくまい。23区内だからブースターも必要ないだろう。工事人件費を入れても精々3万円前後で納まるはずだ。
ネットで業者の相場を調べてみるとそれよりも安い所がいくらでも見つかる。
それを15万円掛かるだと??
どうかしている。
ところがどうやらそんな金額で実際、地デジアンテナ工事を請け負っている所もあるらしい。
完全に高齢者たちを騙して暴利を貪っているとしか言いようがない。
業者にとっては貯蓄率の高い高齢者達から効率よくお金を吐き出させるよい機会なのだろう。
振り込め詐欺と殆ど変わらない。
実家の親も放っておいたら本当に15万円支払うつもりだったらしい。
危ないところだった。
ところで実家は西新宿の高層ビルの影響を受ける地域にあり、地上波テレビは難視聴地域になっていて無償でケーブルテレビが引き込まれている。但し、地デジ化するとその無償視聴期間が終了し、最低でも月700円の負担になるらしい。
そんな負担は御免願いたいので、ケーブルテレビの担当者を呼んで事情を聞いてみた。
ところが、これも訳のわからないことを言い出す。
電話とネットを一緒にすればお得になるとか、こちらの想定外のプランを押し付けてくる。
当方はとにかく有料化は勘弁願いたいので断わると、今後地デジ化にあたって屋内配線はテレビ1台につき1万円掛かるとか馬鹿げた事を言い出す。
たかが同軸ケーブルを分配するのに、1台あたり1万円だと?
これも知識に疎い高齢者からボッタくるための商法なのだろう。
余りに頭にきたので、ケーブルテレビからの供給もやめにする事とした。
地上波デジタル化に伴い、こんないい加減な取引が日常茶飯事に繰り広げられている事に恐ろしさすら感じる。
アンテナ工事など業者に頼まず、個人で設置すれば1万円台で収まるだろう。
高所作業や調整などを考慮すると余り素人任せは推奨出来ないが、それにしても15万円の工事費やら屋内引き込みテレビ1台に付き、1万円の負担やらこんな馬鹿げた価格設定は何処から来るのか?
ただでさえ地上波デジタル化など迷惑千万なのに、テレビ買い替えを強要し、巨費を伴うアンテナ工事を押し付けられる鬱陶しさは耐え難い。
今でも自分は1979年製の録画端子もないテレビを使っている。
それで十分であり、新たにデジタル対応テレビを買い換える意思は更々ない。
アナログ放送終了後は砂嵐専用テレビになるだけだが、それでも高い負担を強いて地デジを見るよりかはマシだ。
今回の件でますますその意志は強固なものとなった。
地震、気象情報、緊急ニュース等、どうしても見なければならない状況になればポータブルのワンセグ受信機があるのでそれをアマチュア無線用の高利得UHFアンテナに接続して視聴すれば事足りる。
親は尚も地デジを急いでいるようなので繰り返し言い聞かせてはいる。
「とにかくラジオでガマンしろ。戦争中はラジオしかなかったろう!テレビはもういらん!」
何度も叱責するが聞く耳を持たない。そのうち、平気で15万円かけてアンテナ工事を頼みそうな勢いなので仕方なく安い業者を教えるからそこに頼めと説得している。
本当に困ったものだ。
だいたい、地デジ化が完了し東京スカイツリーから本放送が始まったとて、本当にまともに受信出来るのか怪しいものだ。
スカイツリーの立地場所から察するに東京西部では十分な電界強度で電波が届くとは思えない。
幾ら634mの高さを誇るといっても新宿以西は地上からだと影も形も見えない。見通し距離にない送信タワーから十分な強さを持った電波が到来するとは俄かに信じがたい。
難視聴エリア続出でとんでもない事になりそうだ。
噂によるとデジタル放送は技術的に衛星経由で送受信可能であるという。
テレビ買い替えも、アンテナ工事も、東京スカイツリーも実際はいらなかったのだ。
原発と同じ仕組みで国民に負担を強いていただけなのかもしれない。

とにかく地デジは災いしか齎さない。
もううんざりである。
チデジカもさっさと全裸タレントと共に砂の嵐の中に消えていってくれ。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/