「妄想力」が試される時がきた

報道
03 /28 2011
今日は比較的穏やかな天候だった。もう桜のシーズンなのだが、今年はそんな雰囲気はない。
テレビでは相変わらず福島第一原発の予断を許さない状況が伝えられている。
漏れ出した放射性物質は尋常ではなく、復旧作業を困難にさせているとか。
思うに、人が近づけない危険なエリアであれば、それに変わる手段を見出さねばいけない。
素人でも想像できるのは、遠隔操作の車両、ロボットとかだ。
たしか、日本には様々な産業用ロボットや人型ヒューマノイドロボットが存在したはずでは?
ホンダの「アシモ」やソニーの「アイボ」、村田製作所の「ムラタセイサク君」もいたな。
他にも踊るロボットや介護ロボットが盛んにメディアで紹介されていたのを記憶する。
高校生のロボットコンテストも毎年開催されているようだし、若い開発者や人材も少なくないはずだ。
のも拘わらず、このような状況に至ってもなお、ロボットの「ロ」の字も聞かないのは何故か?
米軍の無人偵察機はすでに展開しているようだし、海外から無人ロボット走行車の提供申し出もあるという。
海外のロボット事情はさておき、前述したように日本のロボット技術を発揮するまたとないチャンスの場である。しかしまったくといってよいほど「影も形も見えない」のは少々、信じがたい。
これらの「日本ロボット」は今、どこに居るのだ?
活用する準備はあるが、要請がないので出番がないのか?
逆に要請はあるが、こういった場ではまったくの「役立たず」なので活用に至らずなのか?
あるいは、単に行政側が知らないだけなのか?
それとも、準備中なのか?
いずれにせよ、このような「国難」に近い緊急を要する非常時、人に代わって危機を打開するためには遠隔操作可能な機材投入が不可欠。
その最も有効な手段がロボットである事は論を待たない。
にも拘らず、その「日本ロボット」が1体すら姿を見せないのは何たる事か?
「アイボ」も「アシモ」も「ムラタセイサク君」もただの木偶の坊である。
いくら踊ったり、自転車に乗ってみたりしたとしても所詮は「見世物」でしかない。
人が難なく出来る事を「猿真似」のようにロボットに演じさせたところで、それ以上でもそれ以下でもない。
単なる「技術者のオナニー」だ。
ロボットは人が立ち入る事が出来ない危険な場所での作業や、人よりも高度な耐久力を持ってして、初めて有用な存在となる。
それはやはり「兵器」としての要素を持ち合わせることは必須。
飛行機も自動車もインターネットも戦争が生んだ文明の利器であった。
「介護ロボット」云々などでお茶を濁していたから、いざとなったとき、何の役にも立たないのである。
介護は人間にだって出来るが、放射能で高度に汚染された原子力施設での作業は、ロボットにしか出来ないのだ。
空想の世界では、モビルスーツやレイバーなる人型ロボットが存在するが、日本行政府と企業はそれを現実化させる努力も計画も資金も技術力もそこに投じてこなかった。
その挙句、この有様だ。
未だ放射能汚染の危険性に満ちた場所にはレインコートに毛が生えた程度の防護服を着た「生身」の人間が命を賭して作業している。
破損した原子炉建屋に放水する手立ては、当初デモ鎮圧用に使う警察の放水車しか思いつかなかったという。
どれだけ原始的で稚拙な発想しか持ち合わせていなかったのかと呆れてしまう。
アニメではかっこよく人型ロボットが出動し、あっという間に危機を鎮圧するシーンが思い浮かぶが、実際に出てきたのは学生運動華やかりし頃の骨董品、機動隊の放水車である。
放射能汚染地帯に剥き身で赴くつもりだったのか?
相手はゲバ棒振り回している学生じゃなくて放射能だよ。
まるでドリフのコントだ。

この期に及んで未だ「ロボット導入」の話がないのはやっぱり役に立ちそうなのが一つもないということなのだろう。
しかし、事態はもう猶予を許さない。
既存のロボットを応急的にでも改良し、なんとか現場で使えるまでにすることが急務じゃないのか?
今、日本のロボット技術者の使命はこれしかない。
ナウシカのクシャナの台詞ではないが「今、使わずしていつ使うのだ?」である。

この時こそ日本の妄想力が試されている。
妄想から生み出したレイバー、モビルスーツを現実の世界に体現させ、実践すること。
それが日本の命運に繋がる。
日本のロボットがこの原発危機を解決させれば、世界はその技術力を評価せずにはいられまい。
しかしここでもし、原発危機回避手段を外国に丸投げし委ねてしまえば、未来永劫「技術立国日本」の銘は地に堕ちよう。
考えるよりもまず行動しなければどうにもならない。

そこで自分もない知恵を絞り、妄想力を発揮してみた。
ロボット110327a色
基本、2足歩行ロボットはまだ実用に足る水準ではなかろう。
とりあえず、惑星探査車のような悪路走行可能6輪リモートロボットで様々なリモートセンシリングを行なう。
操縦は衛星回線を使い、操縦者は安全な場所から操作する。
マニピュレーターがあるので、従来人が行なっていた作業をサポートすることも可能だろう。
実際、この程度のロボットはあるのではないか?
どれだけ有効かは解らぬが、生身の人間を使うよりは安全だ。
更には、大型重機と工作用ロボットを組み合わせて、原子炉建屋の上から様々なマニピュレーターを伸ばして作業できるようにするロボットだ。
当然全て遠隔操作なので、人が危険に晒される事はない。
冷却水やコンクリートも此処から正確に流し込める。
一歩進めて、原発保守用の2足歩行ロボットも開発すればどうか?予め施設内の移動に特化させたプログラミングとサイズに設計しておけば安全、かつスムーズに作業を進行出来よう。
コストも掛かり、有用性も未知数だが、少なくとも作業員を危険な状況から解放出来る。
ロボット110327b色
所詮、これらロボットは「妄想」に過ぎない。
現実に活用出来るかは知らない。
それをするのは技術者だ。

3月11日、日本に来襲した巨大津波は「映画」のごとき空想じみたバケモノだった。
であれば人間も「映画」並の妄想力で対抗しなければこの危機からは逃れられないんじゃないのか。
日本人は今、妄想力を発揮し、一層奮励努力しなければならない。
空母機動部隊を初めて有効的に実践したのも日本だ。
先祖に恥じぬよう、妄想を現実化させるときが来たのだ。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/