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国難に見合う指導者にバトンタッチを

地震、火山、気象、自然災害
03 /14 2011
確定申告書類を税務署に提出するため、午前10時半頃、震災後初めて外出する。
何となく空気が違う。近所には修理依頼のためか工務店の脚立を積んだトラックが留まっていた。
壁が崩れかけている家も見かける。駅前のパチンコ屋の前には営業時間縮小のの看板が。客もあまり居ない。
一方、商店街は午前中なのに妙に人が多い。
税務署に書類提出を終えて駅前の西友に寄る。
店内が暗い。節電のために照明を落しているのだろう。
レジ付近を見て吃驚。
物凄い長蛇の列。かごの中は食料がいっぱい。
一方、店内の棚は所々商品がない。特にパンの棚はすっからかん。
店の奥からパンが運ばれると皆、手を上げて買い求める。
この異様な雰囲気はなんだ。
オイルショックの時のトイレットペーパーと似ているが、切迫した不安が見て取れる状況は、映画『ザ・デイ・アフター』の一シーンを髣髴とさせる。
その元凶はテレビから流れる官房長官や首相のコメントだ。
彼らの遜った「現状報告」を聞いているとますます不安になる。
事務方から挙ってくる情報をただ鵜呑みにするだけで自らの指導力を発揮しているようにはとても思えぬ。
船が沈みそうなのにどうしていいか解らない船長と航海士のようだ。
「計画停電」を発表する時も、電力確保出来ないからすいませんとカメラに向かって頭を下げていたが、こんな状況に至って不安に駆られている市民に頭を下げてどうする。
ありのままの事を伝えるということは、己に策がない事を露呈している。
上手くいかなかったら各自対処してくれと言っているようなもの。
とても国難の時に上に立つ器ではない。
学級会レベルで犠牲者1万人を超える国難にどうして対処出来ようか?
ボランティア担当に元過激派のシンパ民主党議員が就くなど何かの冗談か?
この機に及んで元クラリオンガールの紅衛兵ごっこに明け暮れた閣僚がなぜ指揮を執っているのだ?
これは悪夢だ。
一刻も早く超党派で別の適任者を探し出し、即刻交代し、国民を安心させることが最優先のように感じる。
福島の原発対処にしても、このどこが「技術立国」なのだ?
いくつもの安全対策に尽く失敗し、まともな危機管理が為されない。
想定を超えた巨大津波に遭遇したからといってここまで対応に躓くのは現場の人間に最初からそんな能力もモチベーションも備わっていなかったからではないか?
危険な原発に派遣され、常に放射線の被曝に晒される職場だ。メディアもネガティブに原子力を扱うから欝にもなろう。
そんな職場に率先して赴き、原子炉を守っていくため全力を尽くす者など居ない。
殆どの職員は職場に誇りなど持っておらず、嫌々ながら勤めているのではないか。
言われたまま、マニュアルどおりにしか対応しない。だからこんな緊急時になってもどうしたらいいか解らない。
発電機が止まったら率先して決死の思いで再起動させる意欲も士気も使命感も技術もなかったのだろう。
「発電機が止まっちゃった。どうしよう」
こんなものである。
耳を当てただけで炉の様子が解るような昔堅気の職人はもう居ないのだ。マニュアルに書いてあるだけのことしか出来ない人間は真の技術者とはいえぬ。
挙句、炉をメルトダウンさせ、海水を注入するしかなくなり、最後は建屋を吹き飛ばすような失態に至るのだ。
そんな失敗を繰り返したのにも拘らず、今度は海水を注入する発電機のガス欠に気が付かず、炉を空焚きさせてしまったなんて何かの冗談か?
此処まで酷いとわざとサボタージュしているんじゃないかと疑いたくもなる。

失態と無能の連鎖は電力不足を呼び、計画停電を実行するしかなくなる。
計画停電なんて家庭に裸電球くらいしかなかった頃のシステムだ。
今日、あらゆる生活必需品が電気に頼っている現状では現実的ではない。
まともな宰相なら即刻責任者を首にして、有能なエキスパートに取って代わる人事を実行するだろう。
しかし、今の宰相とその取り巻きにはそんな人脈も機転もないから、事務方が苦し紛れないい訳じみた対処方法を鵜呑みにするしか選択肢がない。
失敗のスパイラルは留まる事を知らず、新米山岳ガイドが山道に迷って恐ろしい脱出不可能な深い沢に堕ちていくの如く、国民を不安と絶望に引きずり込んでいく。
「誤った道」なのに頑に「正しい道」を歩んでいると信じて疑わない指導者ほど国民にとって不幸な事はない。
このままでは本当にインパール作戦の二の舞だ。
計画停電など実行不可能なのに無理してスタートさせれば、ますます混乱と不安を蔓延させ、人々はやがて首都圏から逃げ出すだろう。
すでに交通機関は混乱の兆しをみせ、皆どうしてよいか解らなくなっている。
駐在している外国人は続々と首都から脱出しているという。
米空母『ロナルド・レーガン』が日本近海に進出した真の目的は在日欧米人の収容のためかも知れぬ。
福島の原発建屋が2個も吹っ飛ぶ様子を見れば、日本の対応がどれだけ無能で行き当たりばったりかよく解る。
あれを見て逃げ出さないほうがおかしい。
自分は少なくともこんな無能な日本の指導者と心中したくはない。
とにかく、マトモで有能な人物に指揮権を譲ってくれ。
原発よりもこっちのほうが早急に対処すべき事案だ。
国難にはそれ相応のエキスパートが必要。
もはや「学級会」の出る幕ではない。
スーパーの様子は尋常ではなかった。指導者が無能だから人々は不安に駆られ食料備蓄に走る。
このままではパニックになりかねないのではないか。
悪戯に不安と混乱を煽る計画停電を指示する時点で指導者としてはもはや「チェックメイト」だ。
今すべきことは自らの過ちを認め、無能電力関係者を更迭し、国難に見合う有能なエキスパートにバトンタッチすることだ。
有能な賢者が指揮をとれば決して電力不足など許さないだろう。
どんな犠牲を払っても電力確保に邁進するはずだ。
それが国難にあたる指導者ってものじゃないのか?
このままじゃ日本は本当にメルトダウンしてしまうぞ。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/