稀有な出会いの紅茶缶

日常
01 /16 2011
先日の凍えるような夕方、JRの駅構内にて紅茶缶を買う。
普段は缶飲料などめったに買わない。
なんかあの小さい飲み口が性に合わず、あれで飲んだドリンクで美味いと感じたことは一度もない。
屋外で買い求めるドリンクは大抵ペットボトル。
だがこの日は駅の売店でホット飲料のケースに見慣れない広口缶の紅茶飲料をみつけた。
なんだか珍しいので購入。
早速その場で開けてみる。
広口なので缶の上部が全面開く。螺旋が切ってあるので改めて密閉することも出来る。
昔のピース缶をちょっと長くしたような形状。
開けた瞬間、芳醇な濃い紅茶の香りが。
缶飲料でこんな経験をしたことがなかったので一瞬びっくりした。
湯気立つ熱い缶に口をつけてじっくり味わう。コップから飲むような感覚なので、従来の缶飲料みたいなジュージュー吸い込む窮屈さもなく、まさに堪能するごとく飲み干すことが出来た。
正直、缶飲料でこんな美味いと感じた経験は、恐らく生まれて初めてだろう。
感動すらした。
たまたま寒かった事に加え、喉の渇きもあったことも影響していたとはいえ、味も香りも五臓六腑に染み渡るがごとし。
その時は、商品名を確認せずに缶を片付けてしまったが、後に調べてみるとどうやらこの製品であった。
http://www.pokka.co.jp/company/news/2010/101001_01.html
商品名は「ポッカ ラテティー」(170ml、小売価格120円)。
容量も程よい。
缶飲料はいつも余らしてしまう事が多いので至れり尽くせり。
この容器を考えた人間は大したものだと思う。
やはり香りがすべてを決めるから、この構造でないといけない。
従来の缶やペットボトルだったら、おそらく記憶にすら残らなかったであろう。
もっとも普段缶飲料などまったくといってよいほど嗜まないからこそ、インパクトを受けたのかもしれない。

たまに「朝コーヒー」とかいうコンセプトで売っているコーヒー缶があるが、何ともさもしい。
サラリーマンがなんでわざわざ朝飯代わりに自販機で缶コーヒーを買い求めて嬉がるのか、さっぱり解らぬ。
スターバックスやドトールに立ち寄る余裕もないのか?
朝缶コーヒー、昼牛丼、夜回転寿司かファーストフード。
これじゃ家畜だ。
だから、あの「朝用缶コーヒー」とかいうCMを見ていると、なんか惨めったらしくて、あんなの飲んだら人間ダメになるとまで思ってしまうのだ。
実際、そんなことはないのだろうが、ああいうコンセプトで売っている缶飲料には絶対手を出したくない。
だから総じて缶飲料は好きになれなかった。
今回、あの紅茶ラテ缶が異常に美味と感じたのもこのギャップから来ているのかも。
缶飲料に美味いものなどあるはずがないと思っていたのに大どんでん返しだ。
稀有なタイミングであの瞬間に買い求めたからこその出会いであったのだろうが。
とはいえオーソドックスな缶ドリンク愛用者からすると、この「ポッカ ラテティー」みたいな製品のほうが邪道なんだろうな。
だからこの商品は多分短命に終わる気がする。
所詮、缶飲料は「味わう」ものではなく「流し込む」ものなのだ。

いずれにせよ、缶飲料が美味いと感じるのは、もしかするとこれが最初で最後かもしれない。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/