また出た東京都青少年健全育成条例改正案に関する妄言

報道
11 /25 2010
自分のような腐れ漫画家が閑古ブログで薀蓄をほざいたところで状況は好転しないが、あえてこの話題に何回目かの妄言を呈す。

また出てきたらしい東京都青少年健全育成条例改正案のこと。
「非実在青少年」の文言は消えたが、性的描写のシチュエーションを規制の対象にするような方向性で成立を図っているらしい。
近親相姦とか、まあそんな描写は規制の対象(18歳未満に販売禁止)だと。
いずれにしろ表現規制を掛ける事には変わりないので状況は好転していない。

このような表現規制の潮流をもはや抗えない状況まで看過してしまった原因はいったい何処にあるのだろう。
どうしたって「まず規制ありき」なのだからいろいろ策を講じても対処療法で終わってしまう。
理不尽さを訴えたところで規制する側には通じないのだからね。
根源的にこの潮流を逆転させない限り、規制は単なる時間の問題に過ぎない。
「表現の自由」なるものは、昨今のナショナリズムの高まりと反比例して抑圧されるのが世の常であるからこれも時代の宿命として諦めるか?
まあ、今のままでは多分そうなるだろう。
そして規制案の提出は日本の行政府や経済団体が、漫画やアニメ等のコンテンツ産業を日本の基幹産業として拡大発展させる気が更々ないということの証明でもあろう。
もし、その気があるのなら、保守政党や都知事がコンテンツ業界や現場を萎縮させるような条例を作るはずもない。
逆に規制どころかあらゆる表現活動を緩和して東京を「表現解放区」「治外法権区」とする条例案を提出するだろう。
都内の表現者たちにアニメ、漫画、ゲームのあらゆる表現活動を保証するような特権を与えるのだ。
すれば世界中から有能なクリエーターたちが大挙して訪れ、永住権を確保するだろう。
こうして都内の個人クリエーター、企業が日本の基幹産業に成長となれば将来、膨大な利益を上げるから税収も見込める。
都にとっては虎の子の財源となろう。
それに比べれば保守系の宗教組織や警察官僚等の圧力団体の妨害など取るに足らない。
所詮、世の中は金である。

では、なんでそうならなかったのか?
まあ、推測するにコンテンツ産業に拘わる者の怠慢に他ならないだろう。
所詮、アニメや漫画で儲けようと試みる出資者って他の業界と比べ、レベルが低いような気がする。
現場は使い捨てで、その場その場で小銭を稼げればいいという程度の人間しか居なかったのではないか?
ましてや、業界全体の将来のために政治家に取り入り、ロビー活動を展開するコンテンツ産業の出資者って存在したのだろうか?

先日、1970年代に一大ブームを引き起こしたSFアニメのプロデューサーが事故死したニュースがあった。
日本のコンテンツ産業の先駆けとなったようなエポックメーキングな作品を世に送り出した人物であるにも拘わらず、クリエーターやファン層からは、すこぶる評判が悪く、死去したニュースが流れても余り惜しむ声は大きくなかった。
それはおそらく、作品を愛する気持ちよりも目先の利益のための道具としてしか考えていなかったその人物に対する客観的な評価そのものの表れだったのだろう。
現場を酷使し、業界の未来を見据える事もなく、ただ目先の利益だけに走るだけの出資者。
おそらくこれは日本のコンテンツ産業全体に漂う「悪癖」ではなかったか?
その挙句が、今日の表現規制に繋がっているのだ。
同じ表現でも文学では許されて、なぜ漫画、アニメでは許されないかという根源的な理不尽の要因がこの一点にある。
この状況を看過しつづけ、ダラダラやってきたツケが、今まわって来たに過ぎない。
遅かれ早かれ行き詰る運命だったのだ。
今回の改正案は、前回反対だった民主党まで賛成に回るという話ではないか?
所詮、この政党もコンテンツ産業の味方ではなかったのだ。

漫画、アニメが真の「表現の自由」を勝ち取る資格なんて元々なかったのかもしれない。
レベルの低い「山師」みたいな出資者に「飼われて」いた身に高尚な「表現の自由」など所詮「雲の上」の話だ。
これが身分相応。
この状況を根本的に打開するには、これまでの「悪癖」から決別し、質の良い出資者にコンテンツ産業を任せるしかない。
政治力があってロビー活動に長け、長いスパンで業界の未来を見据えられる出資者だ。
所詮、お金がなければ何にも出来ない。
逆に金があれば「表現の自由」など何とでもなるものだ。規制条例など滓の様に吹っ飛ぶだろう。
政治家に金をちらつかせれば法律など何とでもなる。
コンテンツ業界にとってそんな「救世主」みたいな出資者が絶対に必要。
はたしてそんな破天荒な「革命児」が存在するかは知らない。
もしかしてそんなもの居ないかもしれないし、それが本当に「救世主」に成り得るかは解らない。
でも居なかったら、日本コンテンツ産業はこの辺りで「一巻の終わり」な気がする。
そしてまた貸本漫画の時代に逆戻りだ。
細々と赤貧の中で漫画やアニメを綴る者が数百人規模しかいない世界に零落れる。あとはみんなアマチュアとして野に下るのだ。
そして業界自体が消滅する。

結局、考えあぐねるといつも結論は同じで「お金」である。
「地獄の沙汰も金次第」
良質のマネーこそがコンテンツ産業の明日を築くのだろう。
己の明日すら間々成らぬ者がこんな薀蓄連ねても空しいだけだが、真理はこの辺りにあると察する。

都規制条例案を根源的に潰すには「お金」しか方法がない。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/