ウォークマンと日本シリーズ

日常
10 /25 2010
ニュースでソニーウォークマンのカセットテープ再生機型がこの4月で生産を終了したことを知る。
ちょうど自分が学生時代の1979年に発売が開始されたウォークマン。
サークルの学友が買って来て、皆から羨望の眼差しを受けていた記憶がある。
あの軽いヘッドフォーンも画期的で魅力的だった。当時はまだCDも普及しておらず、もっぱらFMエアチェックや貸しレコード店からレンタルしてきたアナログレコードよりダビングしてカセットテレコで楽曲を楽しんでいた。それが携帯型になり屋外でも聴取出来るようになった。
要するに現在スタンダードな携帯音楽末端の先駆けがウォークマンだったのだ。
当時、流行ったユーミンとかオフコースなんかをC46テープで録音していた自分もいつかはウォークマンを買う予定でいて、それは今でも構想にあったのだ。
が気が付けば30年余。
購入を躊躇するうちに生産が終わってしまった。
自分の中では今でもアナログカセット式ウォークマンは「最新型レコーダー」であり続けている。
実は、今尚、ラジオや音楽はアナログカセットテープに録音する環境しかない。
DATもMDもついに購入する事はなかった。パソコンで音楽をダウンロード保存する事も殆どやっていない。
結局、若い頃から使い慣れたアナログカセットから脱却するタイミングが得られないまま、ここまで来てしまったのだ。とりあえず今でもアナログカセットは安く入手出来るし(C90タイプ10本で1000円程度)、デッキもとり合えず生産販売し続けられている。
そんなだからアナログカセット式ウォークマンが生産終了と聞いてもピンと来ない。
アイポッド等は自分にとって「世界」が違うのだろう。メモリーの中に大量の楽曲を保存できるからコストパフォーマンスはこちらのほうがずっと優れているのだが、もう新しいものを受け入れる行動力が錆付いて如何ともしがたい。
アイフォーンやアイパッドを所有し、それを駆使している知り合いなど見ていると、遂に自分も時代遅れな存在になってしまったとつくづく思う。
ナビゲーターや情報収集のみならず、自分の作品閲覧や紹介もそんな携帯情報末端で処理できるから、営業にも役に立つ。クリエーターには必須アイテムだろう。
このような機器を駆使出来ずに「世代が違うから」等と逃避していると本当に取り残されてしまう。
だからアイフォーンに使い慣れている若い女性のほうが情報にも長けているから、たとえばミーティングの折、街中でお店を探すとかの場合はそんな年端も行かない若い女性の後をついていくしかなく惨めな思いをする。
これらの機器に疎い年長男子は「役立たず」となってしまい、ただの「お荷物」なのだ。
単に長く生きているだけの木偶の坊として恥を晒すだけ。
にも拘らず、未だアナログカセットに依存するしかない自分のような存在はすでに「生きた化石」。
気が付けば絶滅危惧種だ。

もう一つ気になったニュースがあった。
それはプロ野球「日本シリーズ」が地上波テレビで放映されない可能性があるという情報。
プロスポーツでは日本大衆の人気ナンバーワンを昭和時代からずっと誇ってきた日本プロ野球。
多少の人気浮き沈みはあったものの「日本シリーズ」はテレビスポーツ中継コンテンツとしては欠かせない存在だったはずだ。
「巨人大鵬玉子焼き」と謳われた巨人V9時代と比べるのは些か無理があるとしても、今尚、クライマックスシリーズでの観客動員は毎試合満員に近く、これに比類するプロスポーツは思い当たらない。
そもそもなぜクライマックスシリーズが地上波テレビで中継されないのか?
その理由もよく解らない。
プロ野球の視聴率が下がっているとはいえ、ペナントレース終盤の覇権争いを無視するテレビ局の姿勢が意味不明。
歪な放送権料とかが影響しているのだろうが、それにしても「日本シリーズ」に取って代わるコンテンツがあるとは思えない。
この時期に「日本シリーズ」抜きに何を放映するというのだろう?
かつては「日本シリーズ」の結果で巷の話題が盛り上がっていたのに、地上波テレビで放映しなくなったら「日本シリーズ」の存在自体が無いに等しくなる。
普段、地上波テレビを見なくなった者も「日本シリーズ」位はチャンネルを合わせようと考えるのではないか?
そんな視聴者も切り捨てて、地上波テレビは何をやりたいのか?
愚にも付かない「ガールズトーク」や可も不可もない人畜無害な「芸人トーク」のほうを「日本シリーズ」よりも優先するというのであれば、もう地上波テレビにチャンネルを合わせる意味など微塵もないだろう。
カセットテープがデジタル音楽記憶末端にとって変わる理由は理解できるが、地上波テレビが「日本シリーズ」を切り捨てる理由のほうは皆目理解し難い。
というか、地上波テレビ自体がアナログカセットテープ並の「絶滅危惧種」と成り果てて、視聴者から見捨てられつつあるような気がする。
ただし、アナログカセットには「希少性」という価値があるが、地上波テレビに「残された価値」があるとは思えない。
もう天気予報と地震速報以外にチャンネルを合わせる動機付けが見当たらないのだ。
いっそ「砂の嵐」状態で放置すれば如何か?制作費もかからずお得と思うが。
ただデジタル化すると「砂の嵐」ではなくて「ブルースクリーン」になるのか?
どっちにしろ同じ事だ。

「いつかはウォークマン」と考えていたのにカセットテープウォークマンはなくなり、地上波テレビからは「日本シリーズ」がなくなる。
時代は移り変わるが、自分の中は旧態依然のままだ。
こうなったら、アナログカセットに「日本シリーズ」を録音してやろうか。1980年代の「日本シリーズ」はよくこうして録音したものだ。
まさに「ナウい」ね。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/