自ら動き出さなければ己は守れない

報道
07 /12 2010
選挙の結果が確定したので、ある政党の比例代表名簿を覗く。
上位2位までが当選。
自分の推した「漫画規制反対派」の論客候補は名簿順位3位で惜しくも落選。
名簿の1位はマスコミにも頻繁に登場する党首だから知名度も抜群。当選に疑問を挟む余地はない。
一方、名簿2位の候補者は元地方県議らしい。
党関係者や相当に近い間柄でない限り、名前すら知らない人。
その人が13万票余りを獲得して滑り込み当選した。
因みに名簿1位の党首は38万票余り。
で、名簿3位の「漫画規制反対派」候補者は7万票弱だ。
どれ位の「漫画規制反対」を支持する漫画出版関係者がこの人に票を投じたかは知らない。
この7万票弱の票のすべてが「漫画規制反対」に賛同して投じられたというわけでもないだろうし、また「漫画規制反対」の有権者すべてがこの人に投票した訳でもないだろう。
だが、この7万票弱という数字がいわゆる「オタク」票の「基礎票」と考えてもよさそうだ。
一連の都議会での規制反対論議の直後だったからそれを踏まえて投票した人も多かったはずだろうし。
無論「漫画規制」に反対の「ヲタク」や関係者はこの国にもっとたくさん居るだろう。だが実際に投票行動に出る人数はこのレベルなのだ。
全国に7万人弱。
これが多いのか少ないのか?

毎年、コミケには延べ50万近くの参加者がある。延べ数だから実数にすれば半分と考えても25万人だ。
すべてが有権者とは言えぬが殆どは二十歳以上であるから、彼らがすべて投票行動に出れば20万以上の票が見込める計算となる。
コミケ参加者が己の既得権を守ろうという明確な意識があるかどうかは判らないが、彼らが「行動」に出れば自分たちの既得権を守れる議員を国会や地方議会に送り込む事は容易だろう。

だが、「ヲタク」たる存在は得てして「社会参加」から最も縁遠いところで生きている。
選挙という地域社会、縁故にべったりの世界とは対極の「孤独な世界」の住人なのだ。
だから、今の選挙形態が続く限り「ヲタク」が投票行動に出る可能性は限りなく薄い。

以前、自分の知り合いに区議がいて、その選挙活動を手伝った事がある。
それはもう「ドブ板」で地道に協力者の所を回り、個別に電話をかけ、毎日駆け回っていた。
選挙というものは結局「縁故」「組織」が基本であり、マスコミでの「知名度」云々は一部の有名タレントや党首クラスの国会議員を除いて関係がない。
知名度があったって落選する候補者は幾らでも居るからね。
投票行動の基礎は如何に昔から「お世話になった」とか「組織に貢献した」とか「知り合いからのお願い」であって、政策云々は二の次に過ぎない。
結局は「組織」がモノをいう。
だからこの政党の比例名簿2位の候補も、一般の知名度は皆無にも関わらず13万票あまりを獲得できたのだ。

地道な「ドブ板選挙」を展開しない限り、いくらネットで漫画規制反対議論が盛り上がっても票には繋がらない。
票に繋がらなければ、自分たちの権利を国政に反映出来ない。
「ヲタク」が意識改革して「必ず投票行動に出よう」と立ち上がらない限り、状況は変化しない。
もしくは電子投票が可能になり、リアル社会で「行動」しなくとも1票を投じられるシステムになるかである。
もし、仮にネットで投票が可能だったらば、この漫画規制反対派候補者の得票は一桁違ったものになったかもしれない。
「ヲタク」の権利をリアル社会に反映させるためには「旧態依然」としたドブ板選挙システムに生活様式を改めるか、電子投票制度しかないだろう。

いずれにしろ、自ら動き出さなければ己の権利は守れないのである。
これを踏まえて、これからの同人イベントでは参加者に「政治参加」を促すことも大切になる。
もはや「誰かが何とかしてくれる」時代は終わったのだ。
己の祭りの場を守りたければ己が動くしかない。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/