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コミティアの見本誌会

同人イベント
05 /24 2010
久しぶりにコミティアの見本誌会にいってみた。
コミティアイベント当日は自分のスペース管理で手一杯なので、この見本誌会は他の参加者の作品を拝見する貴重な場でもある。
会場はJR王子駅近くにある北とぴあ7階。
500円を払って入場。
見学者は黙々と見本誌を読んでいる。事細かにノートにレビューを記しているツワモノも。
総じてフルカラーイラスト本が目立つ。作画レベルも高く、レイアウトや装丁もしっかりしていて感心する。その上頒布価格も1000円以下と良心的。
まったく脱帽である。
日本のコンテンツクリエーターの裾野の広さが窺い知れる。
高水準のアマチュアがこれほどたくさん居ることを知っただけでも驚異な体験だ。
自分的には漫画よりも資料的価値のある写真集や旅行記みたいな同人誌に興味を引かれた。
廃墟写真集などは素晴らしいものがある。
一方、漫画同人誌はじっくり読めるものが少ない。
もともと漫画はそれ程読むほうではないので、ぱっと見てインパクトがないとさらっと読み飛ばしてしまう。
たまに読める本があっても、それは商業誌に掲載された作品の再録だったりする。
あるいは天邪鬼な性格ゆえ、イージーなコピー誌のシュールなへっぽこ絵に魅力を感じたりする。
しかし結局、目に留まるのは知名度が高い作家だったり、知り合いの作品ばかりだ。
如何に他者に自分の漫画を読ませるかが難しいことかを学ばせる。
もう一つ気が付いたことは、こうしてわざわざ見本誌会まで足を運んで、本を読むという行為そのものの重さである。
ネット上で検索すればもっと効率よく作品チェックが可能かもしれない。
しかし、自分の足で会場に赴き、自分の手で本の質感を確かめる作業あってこそ記憶に残るものがある。
仮に同じものをネットで知っても数分で忘れてしまうかも。
この日は雨で、外出するには億劫さがあったが、だからこそこの日に読んだ作品は印象深く残るのだろう。
ipadが最近話題だそうだが、果たしてそれで読んだ電子書籍に愛着を持てるかどうか甚だ疑問である。
歴史的名作と女子高校生の他愛ないメールやブログみたいなのが同じプラットホームに並ぶことが「書籍革命」だとしたら、数年後には「書籍」という概念すらこの世からなくなってしまうだろう。
やはり本は紙の質感に依存してこそ記憶に残るような気がする。
質量のある「書籍」に至らない作品は対価を産まない。
「有料ダウンロード」という商法がこの先成り立っていくとはとても思えない。遅かれ早かれ全部無料だ。
要はipadが普及したところで淘汰が進むだけ。
何も変わらないのである。
世に知れ渡るということは、途中何人もの人間が介在してこそ。
それが「書籍化」であって、単純にネット上にアップされたものに「価格」は存在しない。
肝心なのは人間であって生身のコミュニケーション能力だ。
所詮、ネットは質量のない幻みたいなもの。
同じ作品でもipadで読むよりコンビニで刷ったコピー誌で読んだほうが余程人生豊かになる。
人間が介在しない創作物に、生き残る資格はないのだ。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/