「ゲゲゲの女房」を観る

映像鑑賞
04 /10 2010
新しく始まったNHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」を観る。
その中でこんなエピソードがあった。
「売れ残り」気味の主人公独身20代後半女性に縁談の話が来た。
相手は38歳。戦争で片腕もげた漫画家である。
片輪の上に、何の保証もない貸本漫画家がお見合い候補なのか??。
今だったら縁談どころか「犯罪者予備軍」として世間からスポイルされるレベルの「いらない人間」として絶望人生を歩むしかないのにだ。
ところがこの時代、昭和20年代後半から30年代初期位までは適齢男子が戦争によって徴兵された結果、「男不足」による結婚難が発生していた。
結婚しなければ生きていけない当時の日本女性にとって、この状況は深刻だった。
もはや贅沢など言っていられない。
その結果、五体満足ではない片輪漫画家男ですら美人嫁を獲得するチャンスを得られたのだ。
なんと恵まれた時代だったのだろうか!

昨今、「草食男子」やら「恋愛を放棄した男子の増加」等と囁かれているが、どこか胡散臭い。
ホモサピエンスのオスとして延々と受け継がれてきた「性的衝動」を、僅か一世代にも満たない時間で、そのすべてを放棄出来る事などありえない。
女性の社会進出と自立という劇的環境変化があったにせよ、哺乳類のオスがベーシックである以上、その本能の呪縛から解放されることはない。
「結婚も恋愛も必要なし」というのは自己欺瞞に過ぎない。
本当にその本能の呪縛から解き放たれるためには、この哺乳類という「不要な体」を捨て去る以外にないのだ。

ネットに没入しようと「リア充」の人間には勝てない。
己の体は常にホモサピエンスのオスだ。
魂をデジタルにベーシック化出来る時代はまだ遥か先なのだ。
所詮ネットは「仮想現実」でしかない。
だから、未だに「リア充」70代の爺さんたちが「立ち上がれ日本」等と元気に跳びはねていられるのだ。
彼らは現世で「リア充」を堪能してきた。
戦争を生き抜いて、「売り手市場」で安々と嫁を娶り、高度成長期の終身雇用下で社会的地位と財産を肥やすことが出来た。
若年層からネットで罵詈雑言を叩きつけられようと、この世間を支配しているのは「リア充」高齢者だ。
この現実に抗することは出来ない。
今の若年男子は救われないほどの「負け組み」世代に落ちぶれた。
将来が保障されない不安定な給与と雇用。常識外れの価値観を振り回して闊歩する同世代女性との結婚はもはや絶望的。
かつては片輪でさえ縁談が来たのに、いまや平均以上の給与や社会的地位があったとしても必ずしも結婚出来る訳ではない。
もはや「リア充」になることは夢物語であって、己を「草食系」と偽り、欲望を捨てた「フリ」をしながら自分を騙し続けるしかない。
若くして人生を諦めざるを得なくなり、心身ともに覇気を失い、20代にして人生はTHE END。
2010年の今日、はしゃいでいるのは「リア充」爺さんだけ。
結果、この日本には70代による70代のための70代の政治しか存在しない。
そのうち80代、90代、そして「あの世」のための政治と相成ろう。
素敵じゃないか?
骸骨の骸骨による骸骨のための政治。
ホネホネロックにあわせて踊ろうよ。はとぽっぽ。

「ゲゲゲの旦那」はきょうも元気だ。
何の苦労もなく良質の嫁を迎え、洗濯機、冷蔵庫、カラーテレビという「三種の神器」を手にし、高度成長下の終身雇用で給与は増え、60にして莫大な退職金を得て、優雅な隠居年金生活。
こんな「黄金人生」を経てくれば、そりゃ70代でも元気になろう。
それに比べりゃ今の若年層は同じ日本人とは思えない。
人間以下、いや、妖怪以下だ。
妖怪のほうがまだ幸せだよ。
妖怪以下に貶められた若年層日本人に未来なんかないのだ。
ほら、今夜も絶望独身男性ニートたちが歌っているよ。

「下下、下下下の下。
朝から晩までネット漬け。
苦しいな。辛いんだ。ニートにゃ明日も未来も夢もなんにもない。
みんなで嘆こう下下下の下。
人生絶望下下下の下。」

嗚呼、辛い。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/