戦争映画評
映像鑑賞
ロシア映画「鬼戦車T-34」のリメイク版が昨年末本国で封切され、ヒットしているようだ。
日本では『ガルパン』が流行り、アメリカでも『FURY』という戦車が主役の映画が公開された。
近年はこうした第2次大戦を下地にしたリアル志向の戦争映画やTVシリーズが流行る傾向がある。
先日、第二次大戦のロシア戦線を扱った『ジェネレーションウォー』というドイツのテレビシリーズを1話分だけ観た。
製作年は2013年。そんなに古くはない。
日本のNHKで『坂の上の雲』が製作されたのが2009年頃だから、それよりも新しい。
ほぼ『カルパン』と同時期。
枢軸国側から描いた第2次世界大戦ものは珍しい。
連合国側が描いた作品では、ドイツ兵は「標的」のように扱われ、身も蓋もないが、これはその「標的」が主人公だから、それなりのリアリティーはある。
ドイツ人俳優が演ずるから、当然ドイツ兵はドイツ語でしゃべる。この当たり前な描写がハリウッド映画にはないので、それだけでも価値がある。
戦闘シーン等も当時の兵器を忠実に描いていて、なかなかクオリティーは高い。
しかし、ストーリーは相変わらずバイアスのかかった「ナチス」全面否定の造り。
登場人物もまるでアメリカングラフィティーに出てくるような「リア充」。
「悪事」は全部、SSと秘密警察に擦り付けて、国防軍は潔癖みたいな描き方に変化はない。
日本のATG映画に出てくるような中途半端なポルノまがいの描写もあって辟易。
「女」を出す戦争映画は碌なものにはならない典型。
ドイツ産『スターリングラード』も似たようなもので、戦争映画として最低レベルの出来だった。
日活ポルノに戦闘シーンを混ぜたような映像ばかりで観ていて馬鹿馬鹿しくなる。
戦後ドイツの屈折した精神がこんな無価値な似非戦争映画を生む。
『ブリキの太鼓』然り。観ていて不快感しか残らない。
先日、NHKBSで「ヒトラー演説の魔力」というドキュメントを視聴した。
当時ナチズムに心酔したヒトラーユーゲントが90才を越えても尚、若き頃の熱狂を反芻している姿を見て、これこそが「戦時下ドイツの真実」ではなかろうかと思う。
若い時に何かに熱狂するというのはそれが例え邪悪な類いのものだったとしても生きる支えになるのだなと。
今のドイツではそれを「全否定」することが国是だから、彼らは公の場で「青春」を吐露することすら許されないのだ。
だから、この『ジェネレーションウォー』を始めとする数多のドイツ産戦争映画も戦後、捏造された「ナチス全面否定」の思想に染まった「フィクション」でしかない。
本来ならば、ナチス思想に染まった熱い血潮に満ちた若者が、何の疑いもなく突進する様子を描くことが真実のドイツ戦争映画として必須なのであるが、「ナチス全面否定」が強要される以上、永遠に「真実」は描けず、ポルノまがいの似非戦争映画しか作れない。
これがドイツの現状なのだ。
その点では、まだロシア産の戦争映画のほうがドイツ軍を「正確」に描写出来ている。但しあくまで「憎むべき敵役」としてだが。
だから、ドイツ人自らが表現するリアルな第2次大戦映画は永遠に作れないのである。
祖国に殉じていった勇猛果敢なSS戦車兵、擲弾兵他数多のドイツ兵はアメリカやロシア産の映画で散々に「標的」にされるだけの「馬鹿で惨めで残酷な悪役」としてしか描かれない。
ある意味、気の毒だ。
まあ、日本も似たような状況にはあるので、結局まともな戦争映画は「戦勝国」にしか作れない。
映像の世界も「勝てば官軍。負ければ賊軍」なのだ。
日本では『ガルパン』が流行り、アメリカでも『FURY』という戦車が主役の映画が公開された。
近年はこうした第2次大戦を下地にしたリアル志向の戦争映画やTVシリーズが流行る傾向がある。
先日、第二次大戦のロシア戦線を扱った『ジェネレーションウォー』というドイツのテレビシリーズを1話分だけ観た。
製作年は2013年。そんなに古くはない。
日本のNHKで『坂の上の雲』が製作されたのが2009年頃だから、それよりも新しい。
ほぼ『カルパン』と同時期。
枢軸国側から描いた第2次世界大戦ものは珍しい。
連合国側が描いた作品では、ドイツ兵は「標的」のように扱われ、身も蓋もないが、これはその「標的」が主人公だから、それなりのリアリティーはある。
ドイツ人俳優が演ずるから、当然ドイツ兵はドイツ語でしゃべる。この当たり前な描写がハリウッド映画にはないので、それだけでも価値がある。
戦闘シーン等も当時の兵器を忠実に描いていて、なかなかクオリティーは高い。
しかし、ストーリーは相変わらずバイアスのかかった「ナチス」全面否定の造り。
登場人物もまるでアメリカングラフィティーに出てくるような「リア充」。
「悪事」は全部、SSと秘密警察に擦り付けて、国防軍は潔癖みたいな描き方に変化はない。
日本のATG映画に出てくるような中途半端なポルノまがいの描写もあって辟易。
「女」を出す戦争映画は碌なものにはならない典型。
ドイツ産『スターリングラード』も似たようなもので、戦争映画として最低レベルの出来だった。
日活ポルノに戦闘シーンを混ぜたような映像ばかりで観ていて馬鹿馬鹿しくなる。
戦後ドイツの屈折した精神がこんな無価値な似非戦争映画を生む。
『ブリキの太鼓』然り。観ていて不快感しか残らない。
先日、NHKBSで「ヒトラー演説の魔力」というドキュメントを視聴した。
当時ナチズムに心酔したヒトラーユーゲントが90才を越えても尚、若き頃の熱狂を反芻している姿を見て、これこそが「戦時下ドイツの真実」ではなかろうかと思う。
若い時に何かに熱狂するというのはそれが例え邪悪な類いのものだったとしても生きる支えになるのだなと。
今のドイツではそれを「全否定」することが国是だから、彼らは公の場で「青春」を吐露することすら許されないのだ。
だから、この『ジェネレーションウォー』を始めとする数多のドイツ産戦争映画も戦後、捏造された「ナチス全面否定」の思想に染まった「フィクション」でしかない。
本来ならば、ナチス思想に染まった熱い血潮に満ちた若者が、何の疑いもなく突進する様子を描くことが真実のドイツ戦争映画として必須なのであるが、「ナチス全面否定」が強要される以上、永遠に「真実」は描けず、ポルノまがいの似非戦争映画しか作れない。
これがドイツの現状なのだ。
その点では、まだロシア産の戦争映画のほうがドイツ軍を「正確」に描写出来ている。但しあくまで「憎むべき敵役」としてだが。
だから、ドイツ人自らが表現するリアルな第2次大戦映画は永遠に作れないのである。
祖国に殉じていった勇猛果敢なSS戦車兵、擲弾兵他数多のドイツ兵はアメリカやロシア産の映画で散々に「標的」にされるだけの「馬鹿で惨めで残酷な悪役」としてしか描かれない。
ある意味、気の毒だ。
まあ、日本も似たような状況にはあるので、結局まともな戦争映画は「戦勝国」にしか作れない。
映像の世界も「勝てば官軍。負ければ賊軍」なのだ。