寒空に想う戯言

日常
01 /20 2016
今年は暖冬傾向だったが、いつしか本格的な寒さがやってきて、骨身に凍みる。
ツイッターにも記したのだが、大雪で電車が遅れたり減便しているにも拘わらず、厳寒の中、黙々と並び、すし詰めになっても職場へと向かうのは、そこまでしても会社組織の依存から外れてしまう恐怖よりはマシだという意思表示なんだと思う。
「自分が必要とされている場」があると信じ込まないと不安でならないのが日本社会。

テレビでどこかのアイドルグループが独立云々で謝罪したのしないの等と流していた。政治家までこの騒動に発言したとか何とか・・。
芸能に疎いので詳細は知らない。
ただ、これも大きな組織に従属を強いられる、日本社会の縮図なのかもしれない。
だが四半世紀近くグループを組んでいる「大の男」(恐らくもう40代は過ぎているのだろう)だ。それぞれ違った生き方を選択しても何ら不思議ではない。
しかし己の表現活動より、己が帰属する組織に帰依しなければこの世界で生きずらいとなるならば、もう遅かれ早かれ、どの道行き詰ってしまうのは想像に難くない。
ビートルズが解散せずにずっと続いていたならば、それは幸いだったのだろうか?そんなことは誰にも解からぬ。
だが1960年代という若年層が卓越した時代が幸いし、それぞれの道に歩むことに躊躇する必要はなかったし、現状に留まることは単なる愚か者と罵られた。
なぜなら未来は開けていたのだから。
だが、この2016年、超少子高齢化で守旧的既得権に支配されてしまった今、誰もが「長いものには巻かれろ」で生きていくしか選択肢は残されていない。
もはや「フロンティア」は失われたのだ。
フリーランスにしろ、サラリーマンにしろ、大きな組織の下にいないと、あっというまに「貧乏農場」行きだ。
ほんの一握りの成功者と大多数の生活保護・・。この2通り以外に選択肢がない社会に単独で進んだとて成功の見込みは万に一つもない。

長年愛聴している伊集院光のラジオ。
先日の放送で、TBSの昼帯にいよいよ進出するとのこと。
まさに「ラジオスターの王道」だ。
伊集院光もまた、大手芸能事務所に所属している。出世魚のように「深夜ラジオ」→「昼帯」→「ラジオ界の重鎮」という王道が約束されているのも、事務所の功績抜きには語られまい。
伊集院の歯に衣着せないトークも事務所の庇護の下にある。
他愛のない発言一つ一つも、それら組織のがっちりとしたスクラムの中で成立する。
ただの世迷言ではないのだ。
巨大なビジネスの歯車の一部。
宮崎駿の『風立ちぬ』の主人公も、その才能が会社に莫大な利益を齎す限りにおいて、組織を挙げて守られる場面が描かれていた。
この原則はどんな時代でも変わらない。
会社組織に莫大な利益を齎す限りにおいては・・だ。

フリーランスもサラリーマンも大きな組織に帰属しなければ「幸せ」はやってこない。
終身雇用と専業主婦はいまなお「人生の王道」である。
アイドルグループもラジオスターも守旧的価値観で動く組織の庇護なくしては、表現活動も出来ない。
そして、そんな組織から見放されたものは寒空に下に放り出され、朽ちるしかないのだ。
ロンリーウルフではもう誰も生きてはいけない。

雪の中で、延々と電車を待つ者達は、まだ幸いである。
己の帰属する場所があると信じられるから。

あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/