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東京スカイツリー探訪記

旅、訪問記
05 /30 2012
5月28日の入場券が抽選で当たった東京スカイツリー。
一昨日、丸1日かけて探索してきた。
その健忘録を記す。
当日は晴れ。午後から寒気が流れ込んで大気が不安定になるとの予報に若干の不安を抱きつつ、朝6時過ぎに家を出発。
入場指定は8時半だったので余裕を持って赴いた。
上野より東はめったに行かないので地下鉄銀座線で浅草方面に向かうのは、別の県に出かける感覚。
約1時間かけて最寄の「とうきょうスカイツリー」駅到着。
朝も早かったためか、構内は閑散としていた。ここが週末に20万人以上訪れたとは信じがたいほどの静かさ。
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駅を降りればすぐ目の前が「スカイツリータウン」。
アクセスは抜群。
店舗街を抜けると目の前にいきなり巨大な鉄塔が。
地下鉄経由ゆえに途中でスカイツリーを見ることが出来ず、いきなり目の前にそそり立つ鉄塔に面食らう。
朝の7時10分。
朝日に輝く東京スカイツリーはとにかく巨大の一言。
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しかしながら躯体は送電鉄塔をそのまま拡大設計した感じの造りなので「美的」な感動はない。
東京タワーを最初に観たときはアナログ的造形美を感じた記憶があるが、これにそういった印象は皆無で「とにかく急いで建てた業務用鉄塔」というイメージ以外、何も湧いてこない。
これも月日が経って錆でも浮いてくればいずれ趣き深い建築物になるのだろうか?

それはさておき、現地に着くとすでに20人位の列が出来ていた。
行列は屋外に時間指定別、日指定に分かれて整列。
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時間指定といっても数十人単位だから早めに並んだほうが混雑に巻き込まれるリスクは減る。
訪問者は老若男女家族連れランダム。自分のような単独男子は意外に少ない。
多分、多くの人は複数人で申し込んでいたのだろう。
時々、案内係が出てきて入場説明を行なう。
女性スタッフのユニフォームは確かにぱっとしない。昭和30年代のムームーみたい。
しかしこれも慣れか。
7時50分より構内へ入場開始。
暫く待たされて定時8時半よりチケットカウンターで入場券を受け取る。
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引き換えには受付メールをプリントアウトした用紙とクレジットカードが必要。天望デッキまでの料金はすでに引き落とされているので現地で入場料を支払う必要はない。
因みに天望デッキ料金は予約抽選期間は2500円、更に上の天望回廊には1000円必要。
まあご祝儀料金なので仕方ない。
チケットを受け取り、通路を行くと手荷物検査がある。
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 バックの中をちょっと見られるだけ。中身を詳しく調べられたり、ボディーチェックはない。
飛行場にあるような金属探知ゲートがあるが機能しているようには思えない。
もっとも詳しく調べていたらとてつもない渋滞が起きてしまうだろうから、この程度がベターか。
検査を抜けるとすぐにエレベーターで350mの天望デッキに。
時間はあっという間。スムーズな動きで振動もなく快適。外が見えないので実感はないが日本の建築物で350m直通のエレベーターは初ではないか。その割にはあっさりしすぎ。
だが気圧変化が急激なので耳の圧迫で高度の急変さが解る。
8時35分頃、天望デッキ到着。
景色もソコソコに450m天望回廊チケット売り場に。
天候の崩れる前にさっさと登っておきたい。
待ち時間は30分の表示。だが20分程度で天望回廊行きのエレベーターに乗れた。
これもあっという間。一応天井と側面に窓があるが眺める余裕はない。
8時55分、天望回廊到着。
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アンドレイ・タルコフスキーの映画「惑星ソラリス」のソラリスステーションを彷彿とさせる造り。
妙な環境音楽のようなBGMが流されている。
テレビで見た様子と同じ回廊を最高点に向かって歩く。
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何となく揺れているような感覚がするが錯覚か。
天望回廊を上り詰めると最高点のソラカラポイントがある。
451.2m。
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単に柱にキャラクターと数字が表示されているだけだが、取りあえず記念に皆撮影している。
奥に意味不明なガラス張りの空間があるが、おそらく悪天で何も見えない時の「慰め場」なのだろう。
しかし、この天望回廊、「回廊」以外に何もなくカフェも自販機もない。座れるベンチもわずか。
それに回廊の端からもう一方の突端を眺めると床の下はなにもないことが解る。
回廊は鉄塔からせり出した部分に設置されているので高所恐怖症だとちょっと耐え切れない気がする。
いずれにせよ長居出来る処ではないのだ。
とはいえ折角ここまで来られたのだから有効に時間を過ごしたい。
外は晴天。
300ミリ望遠ズームレンズ装着のデジタル1眼レフを持参したので、めぼしい風景をどんどん撮っていく。
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写真は上から新宿高層ビル群、東京タワー、東京ドーム、中野サンプラザ、池袋サンシャイン60、堀切、荒川中川、東京ゲートブリッジ、隅田川河口、京成電鉄、皇居、国会議事堂。そしてスカイツリーの影。
荒川と隅田川に囲まれているので注意していないとどちらを向いているか解らなくなる。
晴れてはいるが視程は浅い。西の山々は覗えないが新宿、都心、湾岸は何とか覗える(写真はフォトショップでレベル調整している。実際は靄って不鮮明)。
思ったよりも都心は遠く感じた。
逆に都心からスカイツリーを観ても下町にポツンと建っている感覚だから当然か。
高度感も思ったほどない。
ランドマークタワーやサンシャイン60からの眺望と比べ、大きな差異はない。
六本木ヒルズの展望ロビーは眺望第一に設計されているので圧巻だが、スカイツリーは窓枠が多く、視界が妨げられてインパクトに欠ける。ツリー周辺が低層住宅街なのも影響しているか。
ただ450mという高度は他に類を見ないので視界が抜群な冬季だと印象は変わるかもしれない。
写真以外でも折角の高度450mであるのでFMラジオやワンセグテレビの遠方受信など試してみる。
もっともスカイツリー自体、電波鉄塔ゆえに条件は悪く、大した成果は上がらなかったが。

そんなこんなで暫くまったりと過ごしていると時間は昼を回り、午後2時過ぎに。
天気予報どおり、次第に北から積乱雲がやってきた。
見る見る視界は閉じて遠方のビル群は雲と雨に遮られてくる。
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そんな雲の動きがダイナミックに眺められ、これはラッキーな経験だ。
天望回廊と同じ高度に雲が流れる。
これはおもしろい。
よく急激な天候不良で山岳遭難のニュースを聴く事があるが、なんとなく解ったような気がする。
さっきまで穏やかな日差しの光景が一転、雲渦巻く「龍の巣」の真っ只中に居るのだ。
これが屋外だったら確かに危ないだろう。
そんな光景を夢中で眺めていたら、天望回廊の様子がおかしい。
新しく登ってくる人が居らず、エレベーター待ちの行列がぐるっと回廊を1周している。座り込んでいる人も。
どうやら強風でエレベーターが止まったらしい。
開業初日にもあったトラブルだ。
スタッフは笑顔で対応しているが、なんだか雲行きが怪しくなってきた。
外では稲光も。
しかし体感では震動もなく至って平穏。
いつしか天望回廊は完全に雲の中に。
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エレベーター待ちの行列以外は無人となった回廊も奇妙。
環境音楽風のBGMもその淀んだ雰囲気にシンクロする。
流石にこのまま長時間取り残されるのは不安と感じたのもつかの間、すぐにエレベーター再開。
なんとか15時半には下の天望デッキに下りることが出来た。なぜかエレベータにはエレベーター会社の技士らしき人の姿も。
降りた天望デッキでは逆に回廊に登る客の行列が2時間待ちになっていた。
ちょっと疲れたのでフロア350にあるカフェでソフトクリームを食す。
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スカイタワーのイラストが描かれたウエファスが付いている。
天望デッキは3層構造。フロア別にカフェが二つ、レストランが一つある。最上階デッキのカフェは椅子がないのでちょっとしんどい。
外はいつの間にか雨も上がり、晴れてきた。
新宿高層ビル街がシルエットに浮かび上がり、幻想的。
16時半頃には東方向に虹も掛かった。
ちょうどスカイツリーのシルエットが中央に。なかなか趣がある。
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この虹は翌日にニュースでも話題になったようだ。
激しい天候の変化を高度350~450mで観察するには絶好のロケーションだろう。
そういう意味ではこの東京スカイツリーは気象の勉強になる野外教室として価値があるのかも。
天望デッキにはショップもあり、ここにも行列。
まあ売っているものはどこの観光地にもあるような「お約束」品ばかりだが、買い物籠一杯に買っている人も居た。
まだ開業間もないのでみあげの価値は高いのだろう。
さて、夕方まで居たのだからついでに夜景も観てしまえと18時半まで粘ってみる。
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夜の雰囲気は昼と違って落ち着く。
しかし、夜景の撮影は三脚がないとなかなか難しい。スカイツリーは原則三脚持込禁止なのだが結構使っている人も居た。フロアにはガードマンがたくさん巡回しているが特に注意もしない様子。このあたりの基準は曖昧だ。
そんなこんなで19時頃、天望フロアから地上に降りる。
帰りのエレベーターは並ぶ事もなくスムーズ。
結局、朝8時半から19時までの11時間、ずっとスカイツリーに居座った。
まあ、そう何回も行くような場ではないと思うのでこれも一興と自分に納得させる。
最後にライトアップされた東京スカイツリーを撮り、駅へと向う。
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朝も帰りも来客のピークを外しているのか、周辺の人の姿は疎らだった。
開業してから最初の月曜日。
雷雲来襲あり虹ありでまあまあの収穫であったか。



あびゅうきょ

漫画家あびゅうきょ
職業/漫画家
ペンネーム/あびゅうきょ
生年月日/19××年12月25日
血液型/O
星座/やぎ座
出身地/東京都
帝京大学法学部卒
徳間書店刊「リュウ」1982年5月号『火山観測所』でデビュー
著書/
大和書房刊『彼女たちのカンプクルッペ』(1987)
講談社刊『快晴旅団』(1989)
日本出版社刊『ジェットストリームミッション』(1995)
幻冬舎刊『晴れた日に絶望が見える』(2003)
幻冬舎刊『あなたの遺産』(2004)
幻冬舎刊『絶望期の終り』(2005)

公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/