アメリカの火星探査車キュリオシティが昨日6日、火星のゲールクレーターに着陸した。
900kgもの探査車を軟着陸させるのは従来の方法では難しく、新たにスカイクレーンという手法を使った。
複雑な工程をクリアして見事成功させた技術は賞賛に値する。
打ち上げから着陸までまったくといってよいほどトラブルもなく、軌道修正も必要ないまま全てのシークエンスを達成させた火星ミッションは稀有だ。
また、キュリオシティ着陸時のパラシュート降下の様子を別の回周軌道上にいた探査機が撮影に成功している。

これは緻密な誤差を含めた軌道計算どうりに探査機が火星に突入している事の証。
その上、
わずが50mの大きさのパラシュートを衛星軌道上から超望遠で狙い通りフォーカスを定める技術も驚嘆する。
何もかも圧倒的だ。
無事に着陸したキュリオシティからは、すでに
着陸時の動画も届き始めている。
静止画は従来の探査機によって見慣れているが動画は新鮮。
それだけ多くの情報量を送れる記憶媒体や通信システムが確立されたということだろう。
圧倒的な情報革命が宇宙探査の世界でも革新を起している。
更なる情報量を送受信出来るシステムが地球、火星間で確立すれば、わざわざ人間が行く必要もなくなる気がする。
人間という生命体を火星まで安全に送り込むには莫大な生命維持に拘わる技術革新を必須とする。
月ならば数日だが、火星までだと往復2年以上は掛かる。
そのためのクリアすべき乗務員の生命維持、例えば食料摂取、呼吸代謝、排泄、宇宙放射線からの保護、無重力対策、メンタル維持システムなど上げていったらキリがない。
本来、探査とは関係ない部分で膨大な技術とお金を要するのだ。
何より機械なら代用が利くが人間の命は取り返しがつかない。
そのような費用対効果を考えると危険覚悟で生身の人間を火星に送り込むより、高度なロボットを投入するほうが合理的だ。
やがて情報通信テクノロジーとロボット工学の飛躍的革新が生身の人間に勝るとも劣らない探査アンドロイドを生み出す。
地球に居ながらにして己の分身のようなロボットが火星を闊歩する日はそう遠くないだろう。
キュリオシティ軟着陸成功はそれを証明した。
今はNASAのような国家レベル予算を投入しなければ難しい火星探査だが、このような技術はやがて汎用化され、いずれは個人レベルでも火星探査が実践可能になるかもしれない。
50年後の夏休み。
小学校高学年の宿題は「火星探査」。
「学研の科学」付録の火星探査キットを使えば簡単だ。
これには「マースミッション6.1」というアプリケーションとミニ4駆のような超小型火星探査車セットが付いている。
半年前より子供たちはガンプラを組み立てる如く、様々なパーツを組み合わせて自分だけのオリジナル火星探査車を作る。
パソコンにはミッションアプリケーションをインストール。
希望着陸地点やミッションデータを入力して完了。
これで全ての制御システムは自分で操る事が可能だ。
火星探査車はまとめて数万個分、火星ロケットに搭載される。だから費用も安い。さらにロケット打ち上げは教育関連の補助金で賄われるから個人負担は僅か。
半年後、火星に到達したロケットから探査車が放出。各自目的の場所に軟着陸を目指す。
全ては「マースミッション6.1」アプリケーションソフトが自動的に制御してくれる。
火星、地球間には超高速インターネット通信網が確立されており、電話回線を通じて火星探査車を自分のパソコンで制御出来るから殆どゲーム感覚だ。
画像取得や岩石調査、ボウリング、生命探査も楽しめる。
探査結果は自分の成果となり、貴重なデータはNASAやJAXAが買い取る。
こんな時代が間もなくやってこよう。
もはや、火星に人間が行く必要性はない。
民間レベルでは地球に居ながらにして微妙な皮膚感覚までシンクロする高度なアンドロイドが、火星上で様々な探査を実践するだろう。十数分の時差さえクリアすればあとはもう自分が火星に居ると同じ。
その時は己とシンクロする美少女アンドロイドを使って火星探検を楽しむのだ。
その日が待ちどうしい。